飲食店のAXとは?DXのその先へ|AIO(AI検索最適化)とSEO・LLMOの違い

この記事でわかること
- AX(AIトランスフォーメーション)とは何か、DXとどこが違うのか
- 予約・仕込み・シフト・採用・口コミ・メニュー開発の6業務が、DXとAXでどう変わるかの対比
- AIO(AI検索最適化)が生まれた背景と、「順位」から「引用」へ変わったこと
- AIO・SEO・LLMO・GEO・AEO の関係と、この言葉がまだ固まっていないという事実
- AI検索最適化に取り組んでいると公表している国内外7社の比較表(出典URL・取得日つき)
- Google・OpenAI・Perplexity・Anthropic・Microsoft が公式に案内している「拾われ方」
- 飲食店が明日から始める5つのこと
「DXって、結局どこまでやればいいんですか」
ここ1年、飲食店の経営者の方から、この質問を本当によく受けるようになりました。
タブレットで注文を取るようにした。予約は台帳アプリに移した。シフトはLINEではなく専用のアプリで組むようにした。レジは変えた。会計ソフトも入れた。それなりのお金と、それ以上の労力を使って、ひととおり「デジタル化」は終えた。
それなのに、手応えがない。
「便利にはなったんです。でも、儲かるようになったかと言われると、正直わからない」
そうおっしゃる方が、とても多いのです。私はこの感覚を、間違いだとは思いません。むしろ、極めて正確な自己診断だと思っています。なぜなら、DXでできることは、原理として「いままでやっていたことを、速く・正確に・少ない人手でやる」ところまでだからです。やること自体は、変わっていない。だから、劇的には変わらない。
そして、その先に置かれた言葉が「AX」です。
㈱デリシャスノーツは、これまで累計1,000店舗以上の飲食店のWEB集客をお手伝いしてきました。その現場から見て、いま起きている変化は、ホームページやSNSの話にとどまりません。お店の「決め方」そのものが変わりはじめているというのが、私の実感です。
この記事では、その全体像であるAXと、いちばん外側で最初に変化が現れたAIO(AI検索最適化)を、飲食店の現場の言葉で書きます。用語の解説だけで終わらせるつもりはありません。同じ業務がDXだとどうなり、AXだとどう変わるのか。そこまで書きます。
1. AX(AIトランスフォーメーション)とは何か
一行で言うと、こうなります
まず、言葉の整理から。
- DX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション / デジタルの道具で、業務のやり方を作り替えること)
- AX(AI Transformation / AIトランスフォーメーション / AIがいる前提で、業務と意思決定そのものを組み替えること)
私はいつも、こう説明しています。
DXは「作業」を機械に渡すこと。AXは「下書き」まで機械に渡して、人は「判断」に残ること。
予約の電話をアプリで受けられるようにするのはDXです。空席が出た日に「この日、この時間帯が弱いので、この常連さんに声をかけては」と提案が上がってくるようになったら、それはAXです。
違いは、道具の新しさではありません。誰が最初の案を出すかです。DXでは、案を出すのは人でした。AXでは、案は先に出ていて、人はそれを採るか採らないかを決めます。
国も「AX」という言葉を使い始めています
これは、業者が売るために作った流行語ではありません。
経済産業省の「内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議」(第3回・2026年3月10日開催)で配布された事務局説明資料には、産業横断の戦略の1つ目として、「AIと他産業のかけ算によるAIトランスフォーメーション(AX)」と明記されています。同資料には「ビジネスモデルや業務プロセス、さらには企業の基幹システム、経営のあり方を非連続的に変革し続けることが必要」という記述もあります。
さらにこの資料は、「構造的人手不足の地方、トップダウンで機動性の高い中堅中小企業を突破口にAXを実現」とも書いています。大企業の話ではなく、決断が速い中小企業こそ先に行ける、という整理です。私は、ここに飲食店の勝ち目があると思っています。
(出典:経済産業省「内外一体のグローバル産業戦略に関する有識者会議」第3回 資料1 事務局説明資料〔2026年3月〕 https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/global_industrial_strategy/003.html / 2026年9月1日取得)
DXとAXは、対立しません。順番です
ここは誤解されやすいところなので、はっきり書きます。
AXは、DXの「次のバージョン」ではありません。DXの上に積む階です。
AIは、判断の材料がなければ何も出せません。売上のデータが手書きの日報にしかなければ、AIは読めません。予約が電話メモにしか残っていなければ、傾向は出せません。DXでデジタルになっていたものだけが、AXの材料になります。
ですから、「DXが中途半端なのにAXなんて」と気後れする必要はまったくありません。順番はこうです。
- 紙と口頭でやっていたことを、データにする(DX)
- そのデータをAIに読ませて、案を出させる(AX)
- 人は、案を採るか採らないかだけを決める
①が全部終わってから②に行く必要もありません。1業務ずつ、①と②をセットで進めるのが、いちばん早い。これは私自身が自社でやってみて、はっきりそう思っています。
2. 同じ業務が、DXとAXでどう変わるか
6つの業務で、並べてみます
抽象論はここまでにして、現場の業務で対比します。飲食店の代表的な6業務です。
| 業務 | DXだと(デジタル化) | AXだと(AIが前提) |
|---|---|---|
| 予約 | 電話台帳をやめ、予約アプリで受ける。二重予約が消える | 空席が出そうな日を先に知らせ、誰に何を案内するかまで案が出る |
| 仕込み・発注 | 発注書がデータになり、在庫が画面で見える | 天気・曜日・近隣の催しから客数の見込みが出て、発注量の案が出る |
| シフト | 希望をアプリで集め、表を全員で共有できる | 希望と売上の見込みから組み合わせ案が先に出て、店長は直すだけ |
| 採用 | 求人媒体に出し、応募をフォームで受ける | 「この街で働きやすい店は」と聞かれたときに、名前が挙がる状態を作る |
| 口コミ対応 | 各媒体の口コミを一覧で見られるようにする | 返信の下書きが用意され、店長は事実確認と署名だけ行う |
| メニュー開発 | 原価と粗利が、商品ごとに数字で出る | 売れ方と残り方から、載せる順・値づけ・落とす一品の案が出る |
予約:DXは「受ける手間」を、AXは「埋め方」を変える
予約アプリを入れると、電話に出る回数が減り、書き間違いが消えます。これは間違いなく価値です。ただ、空いている日が埋まるわけではありません。受ける道具が変わっただけだからです。
AXでやろうとしているのは、その手前です。「来週の火曜、去年と一昨年も落ちています」「先月このコースを召し上がった方が12名いて、そのうち9名は3か月以内に再来店される傾向です」——こういう材料が先に出てくる。誰に声をかけるかを決めるのは、店長です。決めるのは人のまま、考える手前だけを渡す。これがAXの形です。
仕込みと発注:DXは「記録が残る」、AXは「明日の数字が出る」
飲食店でいちばん現金が溶けるのは、廃棄と欠品です。発注をデータ化すると、あとから「使いすぎた」とわかります。わかるのは、いつも事後です。
AXは、ここを前にずらします。曜日・天候・近隣のイベント・去年の同じ週の実績を合わせて、明日の客数の見込みを出す。そこから仕込み量の案を出す。当たるかどうかではなく、「毎日、根拠のある叩き台がある」ことに意味があります。勘の当たる料理長がいらなくなるのではありません。勘を、毎朝の数字と突き合わせられるようになる、ということです。
シフト:DXは「表を共有する」、AXは「組み方を提案させる」
シフト作成は、店長の時間をいちばん静かに奪っている仕事だと思います。希望をアプリで集めるところまではDXで、ここは多くのお店が到達しています。
その先、「希望を全部満たしつつ、忙しい時間に人が厚くなる組み合わせ」を出すのは、AIが得意な種類の仕事です。出てきた案を店長が直す。直した理由が積み上がると、案の精度が上がる。月に何時間かが、確実に戻ってきます。
採用:DXは「応募を集める」、AXは「候補に挙がる」
ここが、いちばん見落とされています。
いま、仕事を探す人も生成AIに相談します。「〇〇駅の近くで、社員登用がある飲食店を教えて」と聞かれたとき、AIが答えの中に挙げられるお店と、挙げられないお店があります。求人媒体に出稿することとは、まったく別の勝負です。応募を「受ける」のがDX、そもそも候補に「挙がる」状態を作るのがAXだと考えてください。
口コミ対応:DXは「一覧で見る」、AXは「下書きまで用意する」
口コミへの返信は、大事だとわかっていても後回しになります。文面を考えるのに、1件10分かかるからです。
AXでは、その10分を1分にします。事実関係と過去の返信のトーンから下書きを出し、店長は事実を確かめて、直して、自分の名前で出す。ここで大事なのは、確認を人が必ず行うことです。事実確認を飛ばした返信は、お店の信用を直接削ります。AXは、判断を手放すことではありません。判断だけを残すことです。
メニュー開発:DXは「原価が見える」、AXは「売れ方から逆算する」
原価管理をデータ化すると、粗利の低い商品がわかります。ただ、粗利が低いから落とす、という判断は乱暴です。その一品が集客の看板になっていることがあるからです。
AXでは、注文の並び方(何と一緒に頼まれるか)、時間帯、客層、残り方まで含めて案を出します。「この一品は単体では薄いが、これを頼んだ卓の客単価は平均で高い」——そういう見方ができるようになります。決めるのは、やはり人です。
6つ並べて、気づくこと
お気づきでしょうか。どの業務でも、変わっているのは道具ではなく「最初の案を誰が出すか」です。
DXの世界では、案を出すのは常に人でした。人が考え、機械が速く処理した。AXの世界では、案は先に出ています。人の仕事は、その案に「うちの店では、こうだから」と修正を入れることに移ります。
そして、これが経営者にとっていちばん大きな話です。案を出す作業から解放された人の時間を、どこに置き直すか。AXとは、突き詰めればその配置換えの話です。だから私は、AXをシステムの話ではなく、経営の話だと考えています。
3. AXの入口が、なぜ「集客」なのか
いちばん外側から、変化が来ているからです
ここまで6業務を並べましたが、では、どこから手をつけるか。
私のお勧めは、集客です。理由は単純で、そこだけが、お店が動かなくても勝手に変わってしまう領域だからです。仕込みもシフトも、手をつけなければ今日のままです。ところがお客様の探し方は、お店の意思とは関係なく、もう変わりはじめています。
COLLINS株式会社が2026年2月24日に公表した「飲食店の選び方」調査(調査期間2026年1月7日〜14日、20〜60代・1人3,000円以上の外食を3か月に1回以上する方 n=1,049、インターネット調査)では、次の結果が出ています。
- 「ChatGPTなどのAIツールを通じて飲食店を知る割合が10%を超えており、新しい情報接触経路として認識され始めている」
- お店を検索する場面では「ChatGPTなどのAIでの検索が、どちらのシーンでも15%ほどの回答となっている」(特別な外食・カジュアルな外食のいずれも)
- 知ったきっかけ別の来店率では「『ChatGPTなどのAI提案』が最も来店につながっている割合が多く、2回に1回は行っていると回答した割合は6割近くなっている(その他は50%未満)」
(出典:COLLINS株式会社プレスリリース〔2026年2月24日〕 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000135874.html / 2026年9月1日取得)
私がこの数字で注目したのは、1つ目ではなく3つ目です。割合はまだ小さい。けれど、AIの提案で知ったお店には、実際に足が向いている。他人の投稿を眺めて「いつか行きたい」で終わるのとは、性質が違うということです。
お客様の目に触れる前に、一次選考が起きている
これまでの検索は、10件の候補が並んで、お客様が選んでいました。AIに聞く形では、3件くらいに絞られた状態で、答えが返ってきます。
つまり、お客様が比べる前に、機械による一次選考が終わっている。ここが決定的な変化です。順位を1つ上げる勝負ではなく、そもそも答えの中に名前が入るかどうかの勝負になった。この「入るための取り組み」に付けられた名前が、AIOです。
4. AIO(AI検索最適化)とは何か
AI Optimization、あるいは AI Search Optimization
AIO(AI Optimization / AI Search Optimization / AI検索最適化 / 生成AIが答えを作るときに、自店の情報が参照され、名前が挙がる状態をつくる取り組み)です。
言葉としては、「SEOのAI版」と説明されることが多く、実際に、店舗向けサービスを提供している会社の公式リリースでも、AIOは「AI Optimization」の略で、生成AIに認識され、推奨されるように情報構造を整えることという趣旨で定義されています(後述の比較表・GMOコマース株式会社の項をご覧ください)。
何が変わったのか:順位争いから、引用争いへ
従来のSEOのゴールは、「検索結果の上のほうに、自分のページを表示させること」でした。表示されれば、クリックされる可能性が生まれます。
AIOのゴールは、「AIが書いた答えの中で、自店が挙げられること」です。この違いは、思っているより大きい。順位は1位から10位まで並びますが、AIの答えに入るか入らないかは、ほぼ「入る・入らない」の二択だからです。
もうひとつ。AIが答えを書いてしまうと、お客様はサイトを開かずに用が足りてしまうことがあります。営業時間を聞かれてAIが答えれば、そこで終わりです。アクセス数だけを見ていると「減った」と感じるのに、電話は鳴っている、ということが起こり得ます。
ですから私は、AI検索の時代の指標を、こう考えています。「何人来たか」から、「正しく答えてもらえているか」へ。自分の店について、AIが今日どう答えているか。それ自体が、見るべき数字になりました。
5. AIOとSEOとLLMOは、どう違うのか
まず、5つの言葉を並べます
この分野には、似た言葉がいくつも出てきます。混乱しているのはあなただけではありませんので、まず並べます。
| 略語 | 正式名 | 日本語で言うと | 主に見ている相手 | ゴール |
|---|---|---|---|---|
| SEO | Search Engine Optimization | 検索エンジン最適化 | Google・Yahoo!などの検索結果 | 検索結果で上位に表示されること |
| AIO | AI Optimization / AI Search Optimization | AI検索最適化 | AIを使った検索・回答の全般 | AIの答えの中で挙げられること |
| LLMO | Large Language Model Optimization | 大規模言語モデル最適化 | ChatGPTなど、言語モデルそのもの | モデルが自店を正しく認識していること |
| GEO | Generative Engine Optimization | 生成エンジン最適化 | 答えを生成する仕組み全般 | 生成された答えに引用されること |
| AEO | Answer Engine Optimization | 回答エンジン最適化 | 「答え」を返す仕組み全般 | 問いへの答えとして採用されること |
※MEO(Map Engine Optimization / 地図検索最適化)は、Googleマップなど地図上での見え方を整える取り組みで、上の5つとは別の軸の言葉です。
ざっくり言うと「土台がSEO、その上の呼び方がバラバラ」
私の理解を、いちばん短く書きます。
SEOが土台で、AIO・LLMO・GEO・AEO は、その上に載った同じ現象の別名です。
「別名」と書きました。厳密には見ている対象が少しずつ違うのですが、お店の現場でやることは、9割がた重なります。情報を正確に、文章で、自分のドメインに置く。古くなったら直す。やることはこれだけで、名前が5つあるだけ、というのが実務家としての私の見方です。
あえて違いを言えば、こうなります。SEOは「ページ」を最適化し、AIOやLLMOは「事実」を最適化します。SEOでは、1つのページが上位に来ればよかった。AIOでは、あなたの店の「個室は4室、2名から10名まで」という事実が、機械が読める形でウェブ上に存在しているかが問われます。ページ単位ではなく、事実単位の勝負に変わった、と考えるとしっくりきます。
正直に申し上げます。この言葉は、まだ固まっていません
ここは、書いておかなければ不誠実だと思うので、はっきり書きます。
AIO・LLMO・GEO・AEO の呼び分けは、2026年9月時点で、業界の中で統一されていません。同じことを指して別の言葉を使う会社があり、逆に、同じ言葉を別の意味で使う会社もあります。
これは私の印象ではなく、次章の比較表を見ていただければ、事実として確認できます。実際にサービスを出している会社が、それぞれ違う言葉を看板に掲げています。同じグループの中でさえ、一方は「AIO」、もう一方は「GEO」と名乗っている例もあります。4つを並記している会社もあります。
ですので、提案を受けたときに「AIOとLLMOはどう違うんですか」と聞いても、答えは会社ごとに変わります。言葉ではなく、「それで、うちの店の何を、どう直すんですか」と聞くほうが確実です。
6. 取り組んでいる企業を、並べてみました
「AI検索最適化に取り組んでいる」と各社が自社の公式サイト・公式リリースで公表している内容を、そのまま並べます。私の評価は入れていません。掲載順は、確認できた提供開始日と規模の順で、優劣を示すものではありません。
| 会社/サービス | 掲げている呼び方 | 公表されている内容(要旨) |
|---|---|---|
| GMOコマース株式会社 「GMO店舗AIO」 |
AIO | 2026年7月1日提供開始。AIOを「AI Optimization」と定義。①AIによる店舗の診断と改善提案、②口コミの収集、③AIが読みやすい店舗専用ページの自動生成、の3機能。飲食・小売・サービス・エンタメの店舗が対象。月額2万円(税別)から |
| GMO TECH株式会社 「Local GEO Dash! byGMO」 |
GEO | 2026年8月3日提供開始。店舗・地域事業者向け。ChatGPTやGeminiなどの回答で、店舗の公式サイト・ブランド情報・店舗情報が信頼できる情報源として引用・言及されることを目指す。SEO・MEO・GEOを組み合わせ、Googleビジネスプロフィールの最適化も含む。料金は個別案内 |
| 株式会社Faber Company 「ミエルカGEO」 |
GEO | ChatGPT・Gemini・Google AI Overviews などのAI検索で「いま自社がどう見えているか」を計測し、改善の打ち手までを一連で支援すると掲載 |
| ナイル株式会社 「LLMOコンサルティング」 |
LLMO | LLMでの言及・引用調査、AI経由の流入やCVのレポートなどを掲載。料金はSEOコンサルティングとセットで月額60万円〜、LLMO単体で月額30万円〜と公式サイトに記載 |
| 株式会社CINC 「AI検索最適化コンサルティング」 |
GEO/LLMO/AIO/AEO を併記 | ChatGPT・Gemini・Perplexity・Google AI Overviews・Google AIモードを自社開発ツールで観測。サイト基盤の最適化、コンテンツ、外部での言及づくり、月次レポートまでを掲載。費用は都度見積り |
| Semrush(海外) 「Enterprise AIO」 |
AIO(AI Optimization) | 大企業向けの製品群として「AI Optimization」を掲げ、AI検索時代のブランドの見え方を扱うと掲載 |
| Ahrefs(海外) 「Brand Radar」 |
AEO | 「LLMの中でのブランドの見え方を追跡する」機能として掲載。用途の分類にAEOを設けている |
出典(すべて2026年9月1日取得):
GMOコマース株式会社 公式リリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005427.000000136.html
GMO TECH株式会社 公式リリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005451.000000136.html
株式会社Faber Company 公式サービスページ https://mieru-ca.com/geo/
ナイル株式会社 公式サービスページ https://www.seohacks.net/service/llmo-consulting/
株式会社CINC 公式サービスページ https://www.cinc-j.co.jp/service/analytics/geoconsulting
Semrush 公式ページ https://www.semrush.com/enterprise/aio/
Ahrefs 公式ページ https://ahrefs.com/brand-radar
この表から読み取れること
3つあります。
1つ目。呼び方は、本当にバラバラです。同じグループの中で「AIO」と「GEO」が並んでいます。前章で「用語は固まっていない」と書いたのは、この事実を指しています。言葉で選ばず、中身で選んでください。
2つ目。2026年に入ってから、店舗向けが出てきました。この分野は当初、大企業のブランド向けが中心でした。それが2026年7月・8月と、続けて店舗・地域事業者向けのサービスが出ています。値段も、月額数十万円の世界と、月額2万円台の世界に分かれてきました。飲食店が現実的に検討できる価格帯が生まれたのが、今年です。
3つ目。各社がやると言っていることは、驚くほど似ています。店舗情報を整える。口コミを集める。AIが読める形のページを作る。Googleビジネスプロフィールを整える。看板の言葉は違っても、中身はほぼ同じです。ということは、これらは外注しなければできない特殊技術ではない、ということでもあります。
7. では、AI側の会社は、公式に何と言っているか
支援する側の話ばかりでは公平ではありません。AIを作っている側が、公式に何と案内しているかを並べます。ここがいちばん確かな一次情報です。
| サービス(運営) | 公式に案内されている内容(要旨) |
|---|---|
| AI による概要(AI Overviews)/AI モード(Google) | 公式ドキュメントに「AI による概要や AI モードにコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません」と明記。あわせて「新たにコンピュータが解読可能なファイルや AI テキスト ファイル、マークアップを作成する必要はありません。また、特別な schema.org の構造化データを追加する必要もありません」とも記載。従来どおりのSEOの基本として、robots.txt でクロールを許可すること、重要なコンテンツをテキスト形式で提示すること、ビジネス プロフィールの情報を最新に保つことなどを挙げている |
| ChatGPT(OpenAI) | クローラーを用途別に公開。OAI-SearchBot=ChatGPTの検索機能に表示するため、GPTBot=モデルの学習用、ChatGPT-User=利用者の操作で見に行くとき。robots.txt で個別に許可・拒否できる(反映まで約24時間) |
| Perplexity(Perplexity) | PerplexityBot=検索結果に表示・リンクするためのもので、robots.txt に従う。Perplexity-User=利用者の操作で見に行くもので、robots.txt には原則従わない。いずれもモデルの学習には使わないと記載 |
| Claude(Anthropic) | ClaudeBot=学習用、Claude-User=利用者の操作で見に行くとき、Claude-SearchBot=検索結果の品質向上用。それぞれ robots.txt で個別に拒否できると記載 |
| Copilot/Bing(Microsoft) | 2026年2月10日、Bing ウェブマスターツールに「AI Performance」レポートを公開プレビューとして追加。Microsoft Copilot、Bing の AI 生成の要約、一部の提携先で自社サイトが引用されたときがわかると案内 |
出典(すべて2026年9月1日取得):
Google Search Central「AI features and your website」https://developers.google.com/search/docs/appearance/ai-features(最終更新2025年12月10日)/同「Optimizing your website for generative AI features on Google Search」https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/ai-optimization-guide(最終更新2026年7月10日)
OpenAI「Bots」https://developers.openai.com/api/docs/bots
Perplexity「Perplexity Crawlers」https://docs.perplexity.ai/docs/resources/perplexity-crawlers
Anthropic サポート記事 https://support.claude.com/en/articles/8896518
Bing Webmaster Blog「Introducing AI Performance in Bing Webmaster Tools Public Preview」(2026年2月10日)https://blogs.bing.com/webmaster/February-2026/Introducing-AI-Performance-in-Bing-Webmaster-Tools-Public-Preview
Googleは「特別な最適化は要らない」と、はっきり書いています
ここは、多くの方が驚かれるところだと思います。もう一度、引用します。
「AI による概要や AI モードにコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません」(Google Search Central 日本語版・2026年9月1日取得)
AI用のファイルも、AI用の構造化データも要らない、とまで書いてあります。そのうえで挙げられている「やるべきこと」は、拍子抜けするほど基本的です。クロールを許可する。内部リンクでたどれるようにする。重要な内容はテキストで書く。そしてビジネスプロフィールの情報を最新にしておく。——飲食店に関わる部分だけ抜き出すと、この2つが名指しされています。
私はこれを、こう読んでいます。「新しい裏技はない。基本を、正確に、きちんとやりなさい」ということです。
では、AIOという言葉は無意味なのか
いいえ、と私は考えています。理由は2つあります。
1つ目。Google以外にも読み手がいるからです。上の表のとおり、ChatGPT・Perplexity・Claude は、それぞれ自前の巡回の仕組みを持ち、robots.txt での扱いもバラバラです。Googleの言うとおりにしていれば全部に届く、という時代ではなくなりました。読み手が5社に増えた。これは事実です。
2つ目。「基本をきちんと」の中身が、変わったからです。Googleの2026年5月の生成AI向けガイドには、「インターネット上で他の人がすでに言っていることを、そのまま繰り返さないこと」「生成AIが簡単に作れるような内容にしないこと」という趣旨の記述があります。どこかで読んだような一般論を並べたページは、もう価値がないと明言されたわけです。
飲食店にとって、これはむしろ朗報です。あなたのお店の個室が何室あって、何名まで入れて、いくらで、いつなら空いているか。この情報を持っているのは、世界であなただけです。他社が絶対に書けない一次情報を、飲食店は毎日持っている。それを、機械が読める形で自分のドメインに置く。AIOの実務は、突き詰めるとそれだけです。
8. 飲食店が、明日からやること
ここまでが総論です。最後に、明日からできることを5つ書きます。ホームページそのものの直し方は各論になるので、別の記事に譲ります(章の最後にリンクを置きました)。ここでは、AXとして「やり方を変える」5つを挙げます。
① 月に1回、AIに自分の店を聞く(所要10分)
いちばん最初にやっていただきたいのは、これです。ChatGPTでも、Googleのアプリでも構いません。次の3つを聞いてみてください。
- 「〇〇(店名)ってどんなお店?」
- 「〇〇駅の近くで、8人で使える個室がある和食のお店を3つ教えて」(自店の業態と条件に置き換えて)
- 「〇〇(店名)の営業時間と定休日は?」
1つ目で間違った答えが返ってきたら、それが直すべき場所です。2つ目で名前が出てこなければ、条件が書かれていないということです。3つ目が古ければ、古い情報が配られ続けています。毎月1日に10分。これを定点観測にしてください。広告費も専門知識も要りません。
② 「答えの材料」を1枚にまとめる
AIが答えを書くために必要なのは、飾りの言葉ではなく、条件です。A4で1枚、次の項目を数字で書き出してください。
- 個室の数と、収容人数(最少と最大)
- コースの種類と、税込価格と、飲み放題の有無・時間
- ランチの時間帯と価格帯
- 貸切の最少人数
- 駐車場の有無と台数
- キャッシュレス決済の対応
- 子ども連れ・アレルギー対応の可否
- 最寄り駅からの徒歩分数
この1枚が、ホームページにも、Googleビジネスプロフィールにも、求人票にも、AIへの答えにも、すべて使えます。1枚作れば、あとは配るだけです。そして更新するときも、この1枚を直してから各所に反映すれば、食い違いが起きません。
③ 見る数字を、1つだけ増やす
ここは2026年に入って、はっきり環境が整いました。
Googleは2026年6月、Search Console に生成AI関連の掲載結果レポートを追加したと公式ブログで発表しています。Microsoftも2026年2月10日、Bing ウェブマスターツールに「AI Performance」レポートを公開プレビューで追加しました。AIの答えに自店が出た回数を、無料で見られるようになったということです。
(出典:Google Search Central Blog「Introducing Search Generative AI performance reports in Search Console」2026年6月 https://developers.google.com/search/blog/2026/06/gen-ai-performance-reports/Bing Webmaster Blog 2026年2月10日・URLは前章に記載/いずれも2026年9月1日取得)
毎日見る必要はありません。月に1回、5分で十分です。数字が動かない月があっても、気にしないでください。この数字は、半年単位で見るものです。
④ 現場の1業務だけ、AXにしてみる
全部を一度に変えようとすると、必ず頓挫します。1つだけ選んでください。私のお勧めは、口コミへの返信です。理由は3つあります。効果がすぐ見える。失敗しても被害が小さい。そして、店長の時間がいちばん目に見えて戻ってくるからです。
やり方は単純です。口コミの本文をAIに読ませ、返信の下書きを出させる。その下書きを、必ず人が読み、事実を確かめ、お店の言葉に直してから投稿する。この「必ず人が確かめる」を外すと、事故が起きます。ここだけは、絶対に飛ばさないでください。
⑤ 「誰が更新するか」を決める
最後は、いちばん地味で、いちばん効く話です。
AXは、道具を入れることではありません。やり方を変えることです。そしてやり方は、担当者が決まっていないと、必ず元に戻ります。
- 店舗情報を直すのは、誰か
- 口コミに返信するのは、誰か
- 月に1回、AIに聞いて確かめるのは、誰か
「気づいた人がやる」は、必ず溶けます。15分でいいので、月初のシフトに名前を書き込んでください。これが、AXでいちばん難しく、いちばん大事な一歩です。
ホームページそのものの直し方は、別の記事に書きました
この記事はAXという上位概念の総論なので、サイトの各論には踏み込みませんでした。「AIに拾われるページの書き方」「画像の中の文字が読まれない問題」「よくある質問の置き方」といった具体策は、こちらにまとめてあります。
▶ 飲食店のホームページで集客できない原因は、ほぼ同じです|累計1,000店舗の現場から(第12章「AI検索に、情報源として拾われる作りになっていない」)
9. AXは、道具の話ではなく、意思決定の話です
ここまで書いてきて、いちばん申し上げたいことを、最後に書きます。
AXという言葉を聞くと、多くの方が「何を導入すればいいのか」と考えます。けれど、本当に変わるのは、導入したあとです。
案が先に出てくるようになると、経営者の仕事は「考えること」から「決めること」に寄っていきます。これは、思っているより大きな変化です。考える時間は減りますが、決める回数は増えます。そして決めるのは、いつも孤独な作業です。そこは、AIが来ても変わりません。
だからこそ、AXで浮いた時間を何に使うかを、先に決めておいてほしいのです。私は、飲食店の場合、答えは決まっていると思っています。お客様の顔を見る時間と、スタッフと話す時間です。そこにしか、AIが代われないものは残りません。逆に言えば、そこさえ守れれば、あとは全部渡してしまってよい。
AXとは、機械にできることを機械に返して、人にしかできないことに人を戻す作業です。かっこいい新技術の話ではありません。むしろ、とても古典的な、商売の話だと私は思っています。
10. それでも、現場は忙しい
ここまで読んでくださって、「わかったけれど、やる時間がない」というのが、いちばん正直な感想ではないでしょうか。私もそう思います。
仕込みがあって、シフトがあって、発注があって、その合間にAIに自分の店を聞いて、情報を直して、口コミに返信する。できる方もいらっしゃいますが、多くのお店では現実的ではないと思います。
飲食店のホームページ制作・運用では、初期費用0円・月額29,800円(税込)から、独自ドメインとサーバーの費用まで含めてお引き受けしています。スマートフォン最適化、予約導線、そしてAI検索を意識したページの作りまでを、この価格の中に入れています。上位のプランでは、30以上の媒体の店舗情報の一元管理や、Googleビジネスプロフィールの運用、お知らせの更新までをお引き受けしています。
ただ、この記事でお伝えしたかったのは、サービスの案内ではありません。第8章の①と②は、費用をかけずに、今日できます。まずはそこからで、まったく構わないと思っています。
おわりに:AIに聞かれているのは、あなたのお店の「事実」です
冒頭の「DXって、結局どこまでやればいいんですか」という問いに、いま答えるなら、私はこう申し上げます。
「DXにゴールはありません。ただ、次の階が見えてきました」と。
その次の階がAXで、いちばん外側の窓がAIOです。窓の外では、お客様の探し方がもう変わりはじめています。ありがたいことに、そこで問われているのは、大きな資本でも、最新の設備でもありません。あなたのお店の事実が、正確に、機械にも読める形で置かれているか。それだけです。
個室は何室か。何名まで入るか。いくらか。いつ空いているか。その答えを世界でいちばん正確に知っているのは、あなたです。知らないのは、機械のほうです。教えてあげれば、機械はちゃんと連れてきてくれます。
最後に、3つだけ質問させてください。それぞれ、1行で答えられますか。
- AIに自分のお店の名前を聞いてみたことが、ありますか。
- その答えは、今日の実態と合っていましたか。
- お店の情報を直す担当は、決まっていますか。
3つとも即答できたなら、あなたのお店は、もうかなり先を走っています。どれか1つでも詰まったなら、それは失敗ではありません。次にやることが、いま1つ見つかったということです。
今日、10分だけ時間を作って、AIにお店の名前を聞いてみてください。AXの第一歩は、そこからで十分です。
㈱デリシャスノーツでは、累計1,000店舗以上のWEB集客支援で培った知見をもとに、飲食店さまのホームページ制作から、Googleビジネスプロフィール・各種媒体の運用、そしてAI検索を意識した情報の整え方までを一貫してお手伝いしています。
「うちの店は、AIにどう答えられているのか見てほしい」「何から手をつけるべきか、順番を一緒に決めてほしい」といったご相談は、お問い合わせフォームよりお寄せください。まずは現状を拝見するところから、ご一緒させていただきます。
