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飲食店のホームページ制作費用はいくら?相場と内訳、失敗しない選び方

目次

この記事でわかること

  • 飲食店のホームページを制作会社に頼んだとき、初期費用としてどこにいくらかかっているのか(見積書の1行ずつの読み方)
  • ホームページ作成ソフトでの自作、自分でHTMLやWordPressで組む、制作会社への一括発注、制作費0円のサブスク型。4つの道を3年間の総額で並べ直すとどう見えるか
  • 制作費0円がなぜ成り立つのか。その仕組みと、契約前に必ず確認すべき最低契約期間・所有権のこと
  • 保守費用の相場と、「保守はいらない」と切ったお店に実際に起きること
  • そもそも、その費用を払う価値はどこにあるのか。「自分の店のドメインを持つ」ことが、地図検索とAI検索の両方でなぜ効いてくるのか
  • グルメサイトの掲載料と比べたときの費用対効果、安く作って失敗する典型パターン、そして予算別の現実的な選び方

はじめに|見積書を見て、手が止まってしまったあなたへ

「ホームページ、そろそろ作らないとまずいですよね」

飲食店のオーナーさんとお話ししていると、この一言を本当によく聞きます。そして、次に出てくるのがだいたい同じセリフです。

「知り合いに紹介してもらった会社に見積もりを取ったら、80万円って言われまして……」

そこで手が止まる。私はこの光景を、数え切れないほど見てきました。

止まる理由は、金額そのものよりも「この80万円が高いのか安いのか、判断する物差しを持っていない」ことにあります。厨房機器なら、冷蔵庫がいくら、フライヤーがいくら、何年使えて、月々の電気代がいくらか、だいたい見当がつきますよね。ところがホームページは、見積書に「デザイン費 250,000円」と1行書かれていても、それが妥当なのかどうか、比べる相手がいない。だから決められない。決められないから、1年、2年と先送りになる。

私は、飲食店のWEB集客のお手伝いを続けてきて、累計1,000店舗以上のお店に関わらせていただきました。その中で、「高い買い物をしてしまった」というご相談も、「安く済ませたはずが結局作り直しになった」というご相談も、どちらも同じくらいの数を聞いています。

この記事では、その物差しをお渡しします。相場そのものよりも、「なぜその金額になるのか」という構造をご理解いただくことを目的にしています。構造がわかれば、3社から相見積を取ったときに、どこが高くてどこが安いのか、自分で判断できるようになります。

もうひとつ、先に結論めいたことを申し上げておきます。ホームページにお金を払うということは、「ページを買う」ことではなく「自分の店のドメインを持つ」ことです。〇〇.com という、あなたのお店だけの住所。これが本体で、ページはその上に建てるものにすぎません。なぜそう言い切れるのかは第9章で丁寧に説明しますが、この記事はずっとその一点に戻ってきます。

先にお断りしておくと、ホームページの費用に「定価」はありません。同じ5ページのサイトでも、30万円の会社もあれば120万円の会社もあります。どちらも詐欺ではなく、含まれている中身が違うだけです。ですのでこの記事の数字は、すべて「幅のある目安」としてお読みください。断定的な相場を提示することが、この業界でいちばん罪深いことだと私は思っています。

では、始めます。


1|「飲食店にホームページなんていらない」への、私の答え

いらないと言う人の言い分は、半分正しい

費用の話に入る前に、どうしても片付けておきたいことがあります。

「ホームページなんて、うちみたいな店には要らないでしょう」

これも、本当によく言われます。そして正直に申し上げると、この言葉、半分は正しいんです。

だって、その通りではありませんか。今どき、お客様はグルメサイトで店を探します。インスタで見つけます。Googleマップで「近くの居酒屋」と調べます。ホームページを開いてから予約するお客様なんて、そんなに多くない。実際、ホームページを持たずに満席にしているお店を、私は何軒も知っています。

だから「客を呼ぶ道具」としてホームページを見るなら、優先順位は決して1番ではありません。ここを認めずに「ホームページは必須です!」と煽る記事は、はっきり言って信用しなくていいと思います。

ただ、残りの半分が、あとで効いてくる

問題は残りの半分です。

こういう場面を想像してみてください。

常連さんが、取引先の社長を連れてきてくれることになった。「あそこ、いい店なんですよ」と話してくれた。相手は当然、スマホで店名を検索します。そこで出てくるのが、グルメサイトの点数と、知らない誰かが書いた口コミだけだったら。

あるいは、求人を出した。応募しようか迷った子が、店名で検索する。会社の姿が何ひとつ出てこない。

あるいは、銀行に融資の相談に行く。担当者は必ず調べます。

ホームページが効いてくるのは、「新規のお客様を呼ぶ場面」ではないんです。「すでにあなたに興味を持った人が、確かめに来る場面」です。

ここを勘違いしたまま作ると、「作ったのに客が増えない」となる。当たり前です。集める道具ではなく、確かめてもらう道具なんですから。この話はホームページを作ったのに集客できない理由で詳しく書いていますので、心当たりのある方はそちらもどうぞ。

「いつか作ろう」が、いちばん高くつく

そして、私がいちばんお伝えしたいのはここです。

ホームページを持たないという選択は、実は「持たない」ではありません。「自分の店の情報を、全部よその会社に預けたままにする」という選択です。

営業時間も、メニューも、写真も、口コミも、全部よそのサーバーの中。あなたが掲載料を払うのをやめた瞬間に、それは消える。あなたが何も悪いことをしていなくても、媒体側がルールを変えれば、それに従うしかない。

10年やってきたお店が、ネット上には5年前からしか存在しないことになっている。そういうお店を、私はたくさん見てきました。それが悔しいのです。

費用の話をこれから延々としますが、根っこにあるのはこの感情です。あなたが積み上げてきたものを、あなたの名前の場所に置いておきましょうよ。それだけの話なんです。


2|飲食店のホームページ費用は「2つの財布」で考える

初期費用と、ランニング費用

最初に、いちばん大事な考え方をお伝えします。ホームページの費用は、初期費用(作るときに一度だけかかるお金)と、ランニング費用(持ち続けるあいだ毎月かかるお金)の2階建てです。

ここを分けずに「ホームページっていくら?」と聞いてしまうと、話がかみ合いません。制作会社が「50万円です」と答えたとき、それは初期費用だけの話で、その後の維持費は別で毎月かかります。逆にサブスク型のサービスが「月額29,800円です」と言うとき、そこには制作費も維持費も入っています。比べているものが違うのです。

飲食店にたとえるなら、初期費用は「内装工事と厨房機器」、ランニング費用は「家賃と光熱費」です。内装に1,500万円かけて家賃15万円の物件と、居抜きで300万円しかかけずに家賃30万円の物件、どちらが得かは、何年営業するかで決まりますよね。ホームページもまったく同じ構造です。

制作会社に頼んだ場合の初期費用は「数十万円」がひとつの目安

一般的な流れとしては、制作会社に依頼すると初期の制作費用として数十万円、これとは別に月々の保守・更新費用がかかる形が主流です。

もう少し解像度を上げると、飲食店のホームページで多いのは次のような分かれ方です。

  • テンプレートをベースに、5ページ前後で作る:数十万円台の前半に収まることが多い
  • オリジナルデザインで、写真撮影も入れる:数十万円台の後半から100万円前後
  • 多店舗展開・予約システムとの連携・多言語対応まで含む:100万円を超えることも珍しくない

そして忘れられがちなのが、このどれを選んでも公開後に毎月のお金がかかるということです。サーバー代、ドメイン代、保守費。ここを見積書に書かない会社もあって、公開して3ヶ月後に「サーバー更新のご案内」が届いて驚く、というのはよくある話です。

「相場」に幅が出る、たったひとつの理由

なぜ同じ5ページでこんなに違うのか。答えはシンプルで、ホームページ制作費のほとんどは人件費だからです。

材料費がほぼゼロで、かかっているのは「誰が、何時間、そのお店のことを考えたか」だけ。だから、打ち合わせを2回で済ませてテンプレートに文字を流し込む会社と、店主に3時間ヒアリングして原稿をゼロから書き、カメラマンを連れて撮影に入る会社では、同じ枚数でも金額が倍以上変わります。

ここを理解すると、相見積の見方が変わります。安い見積書は「手抜き」ではなく、「あなたのお店に使う時間が短い」という意味です。それで十分なお店もあれば、致命的なお店もある。どちらなのかを判断するのが、オーナーであるあなたの仕事になります。


3|見積書の内訳を、1行ずつ読み解く

見積書の「制作費一式」の中身
見積書の「制作費一式」の中身

ここからは、実際の見積書に並ぶ項目を、上から順番に解説します。相見積を並べるときに、この表を横に置いてください。

費用内訳の早見表

項目 何の費用か 目安の考え方
企画・ディレクション費 打ち合わせ、構成づくり、進行管理 制作費全体の10〜20%程度を見込む会社が多い
デザイン費 見た目の設計。トップページと下層ページで単価が違う トップは下層の2〜3倍の単価になるのが通常
コーディング費 デザインをブラウザで表示できる形にする作業 ページ単価で積み上がる。スマホ対応込みか要確認
CMS導入費 自分で更新できる仕組み(WordPress等)の組み込み 数万円〜。「更新できない納品」を避けるための必須項目
原稿制作費 お店の紹介文、料理の説明、こだわりの言語化 1ページあたり数万円。ここを店側任せにすると激安になる
写真撮影費 プロカメラマンによる料理・店内・人物の撮影 半日〜1日で数万円〜十数万円の幅。カット数で変動
素材費 ストックフォトの購入、ロゴのデータ化 数千円〜数万円
予約導線の設定 予約システムやGoogleの予約への接続 数万円。連携先によって手間が変わる
ドメイン取得 あなたのお店の住所(〇〇.com など) 年1,000〜5,000円程度。種類で変動
サーバー費 ホームページを置いておく場所代 共用サーバーで月500〜3,000円程度
SSL証明書 通信を暗号化する鍵。今は必須 無料のものから年数万円のものまで
保守費 公開後の管理・更新・障害対応 月5,000〜30,000円程度の幅。内容次第

※上記は当社の見立てによる目安です。制作会社・地域・仕様によって大きく変わりますので、「相見積を読むための物差し」としてお使いください。

ページ単価の積み上がり方|トップと下層は別料金です

見積書を読むうえで、いちばん最初に知っておくべきルールがあります。トップページと、それ以外のページ(下層ページ)は、単価がまったく違うということです。

トップページは、そのお店の顔です。写真の配置、キャッチコピー、色づかい、スクロールしたときの見え方。デザイナーがいちばん時間を使うのがここで、目安としてはトップ1枚で5〜15万円という幅を見ておくと、たいていの見積が読めるようになります。

一方、下層ページ(メニュー、店舗情報、アクセス、コース紹介など)は、トップで決めたデザインの型を流用して作ります。ですから単価は下がり、1ページあたり1〜3万円程度という幅になることが多い。

ここから逆算すると、見積書の中身が見えてきます。

トップ1ページ+下層4ページの構成なら、
トップ10万円+下層4枚で6万円=デザインとコーディングで16万円前後。
そこに企画・ディレクション費、原稿制作費、初期設定費が乗って、30万円台になる。

だいたいこういう積み上がり方をしています。もし見積が80万円だったなら、残りの50万円がどこに乗っているのかを聞けばいい。撮影が入っているのか、原稿を全部書いてくれるのか、予約システムとの連携があるのか、多言語対応なのか。聞けば必ず答えが返ってきます。答えられない会社なら、その時点で候補から外していいと思います。

ちなみに、ページ数を増やすほど高くなるのは当然ですが、飲食店の場合、ページを増やせば増えるほど良いというものではありません。10ページのうち6ページが更新されずに放置されているサイトより、5ページ全部が最新のサイトのほうが、はるかに強い。ここは経験から断言できます。

いちばん比重が大きいのは、実は「デザイン」ではない

見積書を見ると、金額の大きさではデザイン費とコーディング費が目立ちます。ところが、ホームページの集客力を決めているのは、原稿と写真です。

これは断言してもいいと思っています。私はこれまで、デザインは平凡でも予約が入り続けているお店のサイトと、受賞できそうなほど美しいのに問い合わせが月1件もないサイトの、両方を見てきました。違いは、載っている情報の質でした。

「当店は素材にこだわった料理をご提供しております」と書かれたサイトと、「朝5時に豊洲へ行き、その日いちばん脂ののった魚だけを2〜3種類だけ仕入れます。だから日によってメニューが変わります」と書かれたサイト。後者が選ばれるのは、デザインの問題ではありません。

ですから見積書では、原稿制作費が入っているかどうかをまず見てください。ここが0円の見積は、「原稿はお店側でご用意ください」という意味です。それが悪いわけではありませんが、その原稿を書く時間が、あなたの営業後の深夜に降ってくることは覚悟しておく必要があります。

撮影費は「別途」であることが多い。ここを見落とさないでください

いちばん多い見積のすれ違いが、ここです。

多くの制作会社の見積書で、写真撮影費は含まれていません。「写真はご支給ください」と小さく書いてあるか、そもそも何も書いていない。オーナーは当然「プロが撮ってくれるんだろう」と思っている。公開の1週間前になって「お写真をご用意ください」と言われて、慌てて自分で撮る。そして残念な仕上がりになる。

この行き違いを、私は何度も見てきました。だから最初に聞いてください。「この見積に、撮影は入っていますか。入っていないなら、いくらですか。

料理撮影を外部のカメラマンに頼む場合、半日から1日で5〜10万円前後というのがひとつの目安です。カット数、出張の有無、レタッチ(写真の色や明るさを整える作業)の範囲によって上下します。

飲食店にとって、写真は商品そのものです。料理の写真1枚で予約が動く業種は、そう多くありません。

とはいえ、初回の制作でいきなりフル撮影を入れると、それだけで数十万円が乗ります。ここは現実的な判断でよいと思います。開店時に撮ったきれいな写真があるならまずはそれを使い、季節メニューが固まったタイミングで撮り直す。そういう順番でも間に合います。

避けたいのは、スマホで暗い店内をそのまま撮った写真を、そのまま載せてしまうことです。今のスマホはよく写りますが、飲食店の照明は「食事をおいしく見せる光」であって「写真をきれいに撮る光」ではありません。撮るなら、開店前の明るい時間帯に、窓際の席で、料理を窓に向けて。これだけで見違えます。

ドメインとサーバーは「小さいけれど、いちばん大事」

金額としては年に数千円から数万円の話です。見積書の中でいちばん安い行です。ところがこの2つ、とくに独自ドメイン(〇〇.com のような、あなたのお店だけの住所)は、あなたのお店の資産そのものです。

言い方を変えます。あなたが数十万円を払って手に入れる本体は、実はこの1行です。デザインは何度でも作り替えられますが、住所は一度取ったら、手放さないかぎりずっとあなたのものになる。なぜこれが本体なのかは、第9章でじっくり説明します。

だからこそ、必ず確認してください。「ドメインの名義は、うちの店になりますか?

制作会社の名義でドメインを取られていると、その会社と関係が切れた瞬間に、URLごと引っ越しできなくなります。長年かけて検索エンジンに評価してもらったURLを、まるごと手放すことになる。これは実際に起きているトラブルで、私のところにも「前の制作会社と連絡が取れず、サイトが更新できない」というご相談が定期的に届きます。

契約前の質問リストに、この一行を必ず入れてください。


4|制作方法別の費用比較|4つの道を並べる

4つの作り方を、3年間の総額で並べ直す
4つの作り方を、3年間の総額で並べ直す

さて、ここからが本題です。飲食店がホームページを持つ方法は、大きく4つに分かれます。金額だけでなく、「誰の時間が消えるのか」という視点で見てください。この視点を持つと、選択肢の見え方が一気に変わります。

4つの方法を、同じ土俵に並べる

①ホームページ作成ソフト<br>(Wix・ペライチ等) ②自分でHTML・WordPressで作る ③制作会社に一括発注 ④制作費0円のサブスク型
初期費用 0円〜数千円 ドメイン・サーバー代のみ(年1万円前後) 数十万円〜100万円超 0円
月額費用 月1,000〜3,000円程度 サーバー代 月500〜1,500円程度 保守費として月3,000〜30,000円程度 月2〜3万円台〜
消える時間 あなたの十数〜数十時間 あなたの数十〜百時間超 打ち合わせの数時間だけ 打ち合わせの数時間だけ
公開までの期間 数日〜(自分次第) 数週間〜数ヶ月 2〜3ヶ月が一般的 最短2週間程度から
原稿・写真 自分で用意 自分で用意 オプションまたは別料金 料金に含まれることが多い
更新のしやすさ 自分でできる(時間があれば) 自分でできる(知識があれば) 依頼のたびに費用が発生することも 代行してもらえる契約が多い
独自ドメイン 上位プランで可 含まれることが多い
検索・地図への設計 ほぼ自力 自力 会社によって差が大きい 含まれることが多い
契約の縛り なし なし なし(保守契約は年単位が多い) 最低契約期間あり
向いているお店 開業直後・とにかく費用を抑えたい 技術に興味がある・自分で全部やりたい こだわりが明確・予算が確保できる 手間をかけられない・固定費で考えたい

この表で私がいちばん見ていただきたいのは、「消える時間」の行です。①と②は、お金の代わりにあなたの時間で払っています。飲食店の経営者にとって、時間はいちばん高い資産です。ここを計算に入れずに「安いほう」を選ぶと、たいてい後悔します。

①ホームページ作成ソフトで自作する

「プロなんだから制作会社を勧めるんでしょう」と思われるかもしれませんが、そうではありません。開業直後で、資金が1円でも惜しい時期に、数十万円をホームページに投じるのは正しい判断とは限らないからです。

Wixやペライチ、Jimdo、STUDIOといったサービスを使えば、月に千円台の費用で、それなりに見られるページを持つことができます。実際、テンプレートの完成度は年々上がっていて、素人が作ったとひと目でわかるようなものではなくなりました。

ただし、自作には3つの現実があります。

ひとつめ。時間がかかります。 慣れた人でも十数時間、初めての方なら数十時間かかると思ってください。営業が終わった深夜に、パソコンの前でテンプレートと格闘する。その時間を時給で計算したときに、本当に安いのかどうか。ここは冷静に考えたほうがいいところです。

ふたつめ。8割で止まります。 これがいちばん多い。トップページは作った、メニューページも作った、でもアクセス情報が古いまま、営業時間が変わったのに直していない、SNSのリンクが切れている。7割から8割で止まったサイトは、正直、無いほうがマシな場合すらあります。

みっつめ。検索で見つけてもらう設計は、テンプレートには入っていません。 きれいなページを作ることと、「地名+業態」で検索したお客様に見つけてもらうことは、まったく別の技術です。

それでも、「まずは自分で作ってみる」は悪い選択ではありません。作ってみると、何が必要で何が難しいのかが体でわかります。その経験は、後でプロに頼むときに必ず効いてきます。具体的な作り方の手順は、飲食店のホームページの作り方で順を追ってまとめていますので、まずご自分で試してみたい方はそちらをご覧ください。

②HTMLやWordPressで、自分で組む

ソフトのテンプレートに頼らず、サーバーを借りて、ドメインを取って、自分でページを組む。あるいはWordPress(世界中で使われている、ホームページを管理する無料の仕組み)を入れて、テーマを設定して作る。

費用だけを見れば、これがいちばん安いです。ドメイン代とサーバー代だけ、年に1万円前後で自分のホームページが持てます。しかも独自ドメインは自分名義。データも全部手元にある。理屈の上では、これが最強です。

ただ、正直に申し上げます。飲食店の経営者にこれをおすすめしたことは、ほとんどありません。

理由は技術の難しさではありません。今のWordPressはかなり親切になっていて、慣れれば形にはなります。問題は、そこから先です。

サーバーの契約、ドメインの設定、SSLの設定、テーマの選定、プラグインの導入、そして公開後のアップデート対応。この作業には終わりがありません。プラグインは毎月のように更新が来ますし、放置すればセキュリティの穴になります。これを、仕込みと営業とシフト管理の合間に、ずっと続けていく。

もしあなたが、こういう作業をやること自体が好きなタイプなら、止めません。むしろ最高の選択です。自分の店のサイトを自分で組める経営者は、この先ずっと強い。ただ、「安いから」という理由だけで選ぶと、必ず途中で止まります。

③制作会社に一括発注する

まとまった予算があり、お店の世界観が明確で、それを表現したい。この条件がそろっているなら、制作会社への一括発注がいちばん自由度が高い方法です。

  • こだわりの内装や器を、写真とデザインで表現したい
  • 独自の予約システムやECサイトとの連携が必要
  • 企業として、採用ページや会社情報も含めた構えが必要

こうした場合、月額サービスの枠には収まりません。腰を据えて作るべきです。

注意点は2つ。ひとつは、公開後の運用が別料金になること。 制作と運用は別のスキルなので、作ってくれた会社が運用も得意とは限りません。もうひとつは、納品後に自分で更新できる形になっているかを、契約前に確認すること。 「営業時間を変えるたびに1回5,000円」という契約になっていて、結局2年間まったく更新されなかったサイトを、私は何度も見てきました。

④制作費0円のサブスク型とは何か

ここ数年で急速に増えたのが、初期費用0円で、月額の定額料金だけでホームページを持てるサービスです。当社が提供している飲食店のホームページ制作・運用も、この形をとっています。

なぜ0円にできるのか。答えは単純で、制作費を月額に分割して回収しているからです。

魔法でも、赤字覚悟のサービスでもありません。本来なら公開前に一括でいただく制作費を、契約期間で割って月額に含めている。携帯電話の端末代金と同じ考え方だ、と申し上げると、たいていの方が「ああ、なるほど」とおっしゃいます。

だからこそ、次の章で説明する条件が必ずセットになります。ここを理解せずに契約すると、後で「話が違う」ということになりかねません。

3年間の総額で並べ直すと、景色が変わります

ここまでの4つを、3年間の総額で並べてみましょう。飲食店にとって、3年というのは十分に現実的な時間軸です。1年で判断するには短すぎるし、5年後の話は誰にもわかりません。

方法 3年間の総額の目安 その3年で手に入るもの
①作成ソフトで自作 5〜12万円程度 ページ。ただし更新はすべて自分。集客設計は自力
②自分でHTML・WordPress 3〜6万円程度 ページとドメイン。ただし作業も責任もすべて自分
③制作会社に一括発注 制作費50万円+保守月1万円なら約86万円 プロが作ったページ。運用は契約次第
④サブスク型(月29,800円) 約107万円 ページ・ドメイン・サーバー・保守・更新代行まで込み

こうして並べると、③と④の差はそこまで大きくありません。むしろ「その3年間、誰が面倒を見てくれるのか」という違いのほうが大きい。逆に①②が圧倒的に安いのも事実です。ここに、あなた自身の時間の値段を足して判断してください。

私の考えを申し上げるなら、判断軸は金額ではなく「3年後にどうなっていたいか」です。3年後、ページが古いまま放置されているのが目に見えているなら、いちばん安い選択は一番高くつきます。3年後も自分で楽しく更新している姿が想像できるなら、自作は最高の選択です。

実際にご相談を受けた、危ない契約の実例を2つ

ここまで「安く見える道」の話をしてきましたが、私が実際にお客様から泣きつかれたパターンを、2つだけ具体的に書いておきます。どちらも社名は伏せますが、数字はご相談を受けたときのままです。

実例1|初期費用0円・月額19,800円。ただし最低契約期間が8年

初期費用0円、月額19,800円。ここだけ見れば良心的に見えます。ところが契約書をよく読むと、最低契約期間が8年でした。96回払いです。

19,800円 × 96回 = 1,900,800円

190万円です。しかもこの契約はリース会社を経由して販売されていました。リース契約は、途中で解約しても残りの支払い義務が原則そのまま残ります。つまり販売した側から見れば、お店が途中でやめても回収は終わる仕組みになっている。「月々2万円弱なら」と思って押した印鑑が、190万円の約束だったわけです。

実例2|「月額9,800円」のはずが、蓋を開けたら3年で71万円

もうひとつは、初期費用0円・月額9,800円(税別)を掲げているサービスです。安い。ただしこの金額は「1ページのみ」の値段でした。

問い合わせフォームを付けたい。メニューのページも欲しい。予約も受けたい。そう伝えた瞬間に「それは1ページではありませんので」と言われ、上位プランを勧められます。結局そのお店が契約したのは月額19,800円(税別)のプランでした。

さらに、案内には最低契約期間6ヶ月と書かれていたのに、規約にはこう書かれていました。

36ヶ月未満で解約した場合、ホームページは最終支払月の月末に非公開となります。36ヶ月経過後は、ホームページを譲渡します。

つまり、36ヶ月払い切らないとサイトは自分のものにならず、途中でやめれば公開が止まる。実質3年縛りです。

19,800円 × 36回 = 712,800円

なぜ、こうなるのか

意地悪を言いたいのではありません。制作会社も事業を続けなければならないからです。

ホームページを1つ作って、公開後も更新し、サーバーを維持し、改ざん対策をして、問い合わせに答える。これを続けるには、それなりの金額がどうしても必要になります。だから「月額9,800円」を成立させようとすると、どこかに無理が出る。1ページに限定するか、長期の縛りをかけるか、リースで回収を確定させるか。安さの裏側には、必ずその埋め合わせがあります。

ですので、このくらいはかかるものだと、最低でも思っておいてください。それを大きく下回る金額を提示されたときは、金額ではなく契約書のほうを読んでください。最低契約期間、解約したときにサイトがどうなるか、ドメインとデータの名義は誰か。この3つです。

飲食店で例えるなら、原価10%を切る料理を出し続けているようなものです。皆さんならお分かりだと思います。そんなことを続けて、事業が続くはずがない。続けるためには、どこかで帳尻を合わせるしかない。その帳尻が、お客様側の契約条件に乗ってくるわけです。

安さそのものが悪いのではありません。その安さがどこで埋め合わされているのかが、契約書に書いてあるかどうかが問題なのです。


5|制作費0円サブスク型の仕組みと、契約前に必ず見るべき3点

① 最低契約期間

制作費を月額に含めるということは、サービス提供側は最初の数ヶ月は完全に持ち出しになるということです。数十万円分の制作作業を先に行い、月額で少しずつ回収していく。したがって、一定期間の契約が前提になります。

当社の場合、制作費用を月額に含めて初期費用0円としている代わりに、最低契約期間を24ヶ月とさせていただいています。これはどのプランでも同じです。

隠すことでも、後ろめたいことでもありません。むしろ、契約前に必ず確認していただきたい条件です。もし「初期費用0円です」とだけ言って、最低契約期間の話をしない会社があったら、そこは必ず聞いてください。0円には必ず理由があり、理由がないなら、どこかに書いていない条件があります。

② 途中でやめたらどうなるのか

最低契約期間の中で解約した場合の扱いは、サービスによってまったく違います。

  • 残りの期間分を一括で支払う
  • 定額の解約金がかかる
  • 制作費の未回収分を精算する

このどれになるのかを、必ず書面で確認してください。口頭の「大丈夫ですよ」は根拠になりません。

そして、逆の見方もお伝えしておきます。24ヶ月という期間は、飲食店にとって決して長すぎる縛りではありません。 ホームページが検索エンジンに評価され、お客様に見つけてもらえるようになるまでには、公開から半年から1年かかるのが普通です。3ヶ月で結果が出ないからやめる、というのは、種をまいて2週間で掘り返すようなものです。

③ ドメインとデータは誰のものか

ここは第3章でも触れましたが、サブスク型では特に重要です。月額サービスの中には、そのサービスの中でしか動かない仕組みで作られていて、解約したら中身をまるごと失うものがあります。

必ず確認してください。

  • 独自ドメインは、お店の名義で取得してもらえるか
  • 解約したとき、ページの内容や写真のデータを引き渡してもらえるか
  • ドメインを他社に移す手続きに応じてもらえるか

当社では、独自ドメインはお店様の資産として取得・運用しています。サーバー費用も月額に含まれるため、別途の手続きやお支払いは発生しません。ここを月額の中に入れているのは、サービスを良く見せるためではなく、ドメインこそがお店に残る本体だと考えているからです。

サブスク型が向いているお店・向いていないお店

私の実感では、こう分かれます。

向いているのは、開業資金を厨房や内装に集中させたいお店、パソコン作業に時間を割けないお店、そして「作ったあと誰が更新するのか」という問題を最初から外注で解決したいお店です。

向いていないのは、すでにWEB担当のスタッフがいて自社で運用体制が組めるお店、極端に独自性の高いシステムを組みたいお店、そして「1年だけ試したい」というお店です。最低契約期間がある以上、短期のお試しには向きません。


6|保守費用の相場と、保守を切ったときに実際に起きること

保守費用には何が含まれているのか

見積書のいちばん下にある「保守費 月額○○円」。ここを削れば安くなる、と考える方は多いです。実際、初回のご相談で「保守は自分でやるので外してください」とおっしゃる方は、かなりの割合でいらっしゃいます。

まず、保守費に何が含まれるかを整理します。

  • サーバー・ドメインの管理:更新忘れによる失効を防ぐ
  • CMSやプラグインのアップデート:セキュリティ上の穴を塞ぐ
  • 定期バックアップ:何かあったときに戻せる状態を保つ
  • SSL証明書の更新:「保護されていない通信」という警告を出させない
  • 軽微な更新代行:営業時間、定休日、メニュー、臨時休業のお知らせ
  • 障害対応:表示されなくなったときに直す

金額の幅は大きく、月5,000円程度の「置いているだけ」の管理から、月30,000円前後の「毎月の更新代行と分析レポートまで含む」ものまであります。

保守を切った店に、実際に起きたこと

抽象論では伝わらないので、実際に起きる典型的な出来事を並べます。どれも、私が現場で見てきたことです。

その1|営業時間が古いまま、1年半。

コロナ禍で短縮した営業時間が、戻したあとも更新されていませんでした。Googleで検索したお客様は「20時閉店」と表示されたページを見て、そのまま別の店に行っています。失った売上は計算できませんが、ゼロではありません。

その2|「保護されていない通信」の警告。

SSL証明書の有効期限が切れて、サイトを開こうとしたお客様のブラウザに真っ赤な警告画面が出ました。飲食店を探しているお客様が、警告を無視してまで進んでくれると思いますか。

その3|サイトが真っ白になる。

更新されないまま放置されたCMSやプラグインは、ある日ぶつかり合って表示不能になります。原因を突き止めて直すには、そもそも動く環境と、バックアップが必要です。バックアップを取っていなければ、作り直しです。

その4|見知らぬ言語のページが増殖する。

古いまま放置されたサイトは、外部から侵入されることがあります。ある日、自分のお店のURLの下に、まったく身に覚えのないページが何十枚も作られている。検索結果にそれが出る。お客様からの信用がどうなるかは、申し上げるまでもありません。

その5|そもそも、誰も気づかない。

いちばん多いのがこれです。サイトが落ちていても、警告が出ていても、オーナー自身は自分のサイトを毎日見ません。お客様が教えてくれることもありません。ただ静かに、予約が減っていく。

「更新は自分でやります」が続かない理由

これは意志の弱さの問題ではありません。構造の問題です。

飲食店の1日を考えてみてください。仕込みがあり、ランチがあり、休憩と仕込みがあり、ディナーがあり、締め作業があり、発注があり、シフトを組む。この中に「ホームページの更新」が入る隙間は、現実的にありません。

だから私は、ご相談を受けたときに必ずこう申し上げます。「更新をご自分でやると決めるなら、毎週何曜日の何時にやるかまで決めてください」と。曜日と時間まで決められないなら、それは続きません。続かないことを前提に、外注するか、更新が要らない構成にするか、どちらかを選んだほうが健全です。

保守費は、サイトを「維持する」ためのお金ではありません。サイトを「営業させ続ける」ためのお金です。看板の電球が切れたら替えますよね。それと同じことです。


7|店舗規模別|1店舗と多店舗では、相場がまったく変わる

「飲食店のホームページの相場」とひとくくりに言われますが、個人でやっている1店舗と、10店舗を展開している会社とでは、必要なものがまるで違います。ここを分けずに相場を語るから、話がぼやけるのです。規模別に整理します。

個人1店舗の場合

必要なページは、多くても5枚です。トップ、メニュー、店内の様子、アクセス・営業時間、予約。これで足ります。

制作会社に頼む場合、テンプレートをベースにした構成なら15〜30万円程度、オリジナルのデザインで作り込むなら40〜80万円程度という幅が、市場でよく見る水準です。予約システムとの連携や撮影を入れると、そこにさらに乗ります。

ただ、個人1店舗のお店に私がいちばん申し上げたいのは、金額のことではありません。5枚のページを、これから何年も正しく保てるかどうかです。ここが担保できない作り方をしたら、いくら払っても同じことになります。

2〜5店舗の場合

ここから話が変わります。悩みが「作る」から「揃える」に移るからです。

店舗ごとにページを分けるのか、1つのサイトの中に店舗一覧を作るのか。営業時間を変更したとき、何箇所直せば全部反映されるのか。新店舗を出すたびに、また制作費がかかるのか。

この規模で失敗しがちなのが、店舗ごとに違う制作会社に頼んでしまうことです。1号店は開業のときに知り合いに頼み、2号店は別の会社、3号店は自分で作った。数年後、更新のたびに3箇所に連絡することになり、しかも1社とは連絡がつかない。よくある話です。

2店舗目を出すと決めた時点で、サイトの構造を一度整理し直す。これが、この規模でいちばん費用対効果の高い判断です。

6店舗以上・フランチャイズ本部の場合

この規模になると、ホームページは「集客の道具」であると同時に「情報を管理する仕組み」になります。

  • 全店舗の営業時間・住所・電話番号を、1箇所で管理して各所に反映できるか
  • 本部が決めたブランドの見え方を、全店舗で保てるか
  • 新店舗の追加が、担当者の作業だけで完結するか
  • 採用ページを本部で一元化できるか

ここまで来ると、制作費よりも運用の設計にお金の意味があります。多店舗展開されている企業様のご相談は、私たちも「ページを作る話」ではなく「情報の流れを作る話」として伺うようにしています。

規模別の目安

規模 必要なページ数の目安 費用の考え方 いちばんの論点
個人1店舗 3〜5ページ 制作費15〜80万円の幅/または月額型 何年も正確に保てるか
2〜5店舗 6〜15ページ 構造の整理にお金をかける価値がある 更新が1箇所で済むか
6店舗以上・FC 15ページ以上 制作費より運用設計の費用 情報の流れを本部で握れるか

8|グルメサイトの掲載料と比べて、費用対効果はどうなのか

課金の仕組みがまったく違う

飲食店の集客予算を考えるとき、必ず比較対象になるのがグルメサイトの掲載料です。ここは、金額の大小より先に、課金の仕組みが根本的に違うことを押さえてください。

グルメサイト 自社ホームページ
費用のかかり方 月額の掲載料+予約1件ごとの送客手数料 制作費(または月額)のみ。予約が何件入っても追加費用なし
集客の即効性 高い。掲載した翌日から露出が始まる 低い。検索で評価されるまで数ヶ月かかる
掲載順位 プラン(支払額)に影響される 支払額では買えない。内容の質で決まる
表現の自由度 媒体のフォーマットの範囲内 完全に自由
比較のされ方 常に競合店と並んで表示される 自分の店だけを見てもらえる
資産になるか 掲載をやめれば消える 続けるほど積み上がる
顧客情報 媒体側のルールの範囲で扱う 自店で直接お預かりできる

予約1件あたりの原価で並べてみる

数字で考えてみましょう。ここでは仮の数字を使いますので、ご自身の店の実際の数字に置き換えてお読みください。

たとえば、グルメサイトの掲載に月2万円を払い、送客手数料が1名あたり200円だとします。月に100名の送客があれば、掲載料20,000円+手数料20,000円で40,000円。予約1名あたりの原価は400円です。

一方、自社ホームページを月額29,800円で運用していて、そこから月に50名の予約が入ったとします。予約1名あたりの原価は596円。この時点では、グルメサイトのほうが安く見えます。

ところが、ここに時間軸を入れると景色が変わります。自社サイトからの予約が月100名になっても、費用は29,800円のままです。 1名あたり298円。200名になれば149円。グルメサイトは送客が増えれば手数料も増えますが、自社サイトは増えません。

つまり、グルメサイトは変動費、自社ホームページは固定費なのです。売上が伸びるほど、固定費側の効率が上がっていく。これが、自社サイトを持つべき経済的な理由です。

それでも「どちらか」を選ぶ話ではありません

誤解しないでいただきたいのですが、私はグルメサイトをやめろと言っているのではありません。長年この業界で仕事をしてきて、グルメサイトの集客力の大きさは十分に理解しています。

正しい考え方はこうです。グルメサイトは「入口」、自社ホームページは「決め手」。

お客様の行動を思い出してください。グルメサイトで3軒に絞り、そのあと店名で検索し直します。そこで公式サイトが出てこなければ、「本当にやってるのかな」という不安が残る。逆に、店主の顔と考え方が伝わるページが出てくれば、その1軒に決まります。

この「最後のひと押し」の役割は、グルメサイトでは担えません。フォーマットが決まっていて、隣に競合店が並んでいるからです。

そしてもうひとつ、表の最終行に書いた「資産になるか」。ここが、費用を考えるうえでいちばん効いてくる項目です。掲載をやめれば消えるものに毎月お金を払い続けるのか、やめても残るものにお金を払うのか。次の章で、ここを掘り下げます。

そもそもホームページが必要かどうかを根本から考えたい方は、飲食店にホームページは本当に必要かで、判断材料を整理していますのであわせてご覧ください。


9|その費用で、結局あなたは何を手に入れるのか

独自ドメインが地図検索とAI検索に効く理由
独自ドメインが地図検索とAI検索に効く理由

ここまで、金額の話ばかりしてきました。ここで一度、いちばん大事なことを申し上げます。

月々3万円を払って、あなたが手に入れるものは「ホームページ」ではありません。「〇〇.com」という、あなたのお店だけの住所です。専門的には独自ドメインと言います。ページのデザインは何度でも作り替えられますが、この住所は一度取ったら、あなたが手放さないかぎり、ずっとあなたのものです。

私は、ホームページを作る本当の意味は、ここに尽きると思っています。だから当社のいちばん下のプランにも、独自ドメインとサーバーを最初から含めています。おまけではなく、そこが本体だからです。

ドメインは「借り物件」ではなく「自分名義の物件」

わかりやすく、お店で考えてみましょう。

グルメサイトやSNSに作るお店のページは、商業ビルの中に借りている区画です。立派なビルで人通りも多い。でも、家賃を払うのをやめた瞬間、そこは他のお店になります。あなたが何年かけて口コミを集めても、それはビルのオーナーの持ち物です。ビルの側がルールを変えれば、それに従うしかありません。

独自ドメインは、自分名義で買った土地です。最初は人通りが少ないかもしれない。看板を出しても、すぐには誰も来ない。でも、そこに置いたものは消えません。3年前に書いた記事も、去年撮った料理の写真も、全部そこに残っている。積み上がっていく。

どちらが良い悪いではありません。借りた区画は「今日の集客」に効き、自分の土地は「3年後の集客」に効く。役割が違うのです。そして飲食店の経営は、来月の話と3年後の話を、両方同時に考えなければいけない商売です。

地図で探されたときに効く理由

「近くの居酒屋」「新宿 焼肉」とスマホで検索すると、地図と一緒にお店が並びますよね。あの並びに入ることを、業界では地図検索対策と呼んでいます。ここで独自ドメインが効いてきます。仕組みを説明します。

Googleビジネスプロフィール(Googleの地図やお店情報の欄を管理する無料の仕組み)には、「ウェブサイト」を登録する欄があります。ここに何を入れるか。グルメサイトのお店ページのURLを入れている飲食店が、とても多いのです。ホームページがないから、仕方なくそうしている。

このとき何が起きているか。Googleから見ると、「このお店の情報は、あるグルメサイトの1ページに書いてある」という状態になります。そのページは、そのグルメサイトのものです。同じような店舗ページが、全国に何十万枚とある。その中の1枚として扱われます。

ここに自分のドメインを入れると、扱いが変わります。「このお店が、自分で出している公式の情報はここです」という基準点ができる。何かが食い違ったときに、どこを正解とみなせばいいのかが決まるわけです。

これは実務でも本当に大きな違いになります。飲食店の情報は、驚くほど多くの場所に散らばっています。グルメサイトが何社、地図サービスが何社、まとめサイトが何十件。そこに載っている店名・住所・電話番号が、少しずつ違っている。「3-15-2」と「三丁目15番2号」、「株式会社」の有無、電話番号のハイフンの位置。人間なら同じ店だとわかりますが、機械は「別の店かもしれない」と迷います。

迷われると、どうなるか。そのお店の情報全体の確からしさが下がります。 ここで「うちの正解はここです」と示せる自分のドメインがあると、その迷いを減らせる。これが、独自ドメインが地図検索に効く仕組みです。

ひとつだけ、正直にお伝えしておきます。「独自ドメインを持てば検索の順位が上がる」とは申し上げません。 Googleは順位の決め方を公表していませんし、それを断言する会社があったら疑ってください。私が申し上げているのは、情報の出どころとして扱われやすくなる、信用の基準点になる、ということです。順位はその結果としてついてくるかもしれないし、こないかもしれない。ただ、基準点がない状態よりは、ある状態のほうが良いに決まっています。

AIに聞かれたときに効く理由

ここ数年で、お客様の探し方が変わりました。検索窓に言葉を入れて青いリンクを順番に見ていくのではなく、AIに直接聞いて、返ってきた文章を読んで決める。この流れは、もう止まりません。

「〇〇駅の近くで、個室があって、日本酒が充実してる店を教えて」

こう聞かれたAIは、どこかから情報を集めてきて、自分の言葉で答えを書きます。このとき、どこを情報源にするのか。これが今、飲食店にとって非常に大きな問題になっています。

AIは、答えを書くときに「その情報がどこから出ているか」を重視します。当たり前ですよね。人間だって、又聞きより本人の発言を信じます。ここで言う「本人の発言」にあたるのが、そのお店自身が公式に出している情報です。つまり、自分のドメインに置かれた情報です。

一方、グルメサイトに載っているお店の情報はどうでしょうか。中身はほとんど同じものが、A社にもB社にもC社にも載っています。同じ文章が何十箇所にも存在している。この状態では、AIから見て「これがこのお店の言い分だ」と言い切りにくい。誰かが書き写したものの、そのまた書き写しかもしれないからです。

ここで現実的な問題が起きます。AIが古い情報を答えてしまうのです。営業時間を変えたのに、AIが以前の時間を答える。コース料理の内容が変わったのに、前の内容を説明する。ランチをやめたのに「ランチもあります」と言われる。お客様はそれを信じて来店し、閉まっている店の前に立つ。

こうなったとき、直しにいける場所が必要です。それが自分のドメインです。正しい情報を置いておく場所を、自分で持っているかどうか。これがAI時代の飲食店にとっての、いちばん基本的な備えだと私は考えています。

プラットフォームの側が「自分のドメインを持て」と言い始めた

面白い流れがあります。

Google自身が、ビジネスプロフィールの充実を促す中で、事業者に対して独自ドメインの取得や、そのドメインを使ったメールアドレス(Google Workspaceなどの仕組み)の利用を勧めるようになってきています。

これは、よく考えると不思議なことです。プラットフォームの側からすれば、お店の情報がすべて自分たちの中にある状態のほうが、都合がよいはずですよね。それなのに、「自分のドメインを持ちなさい」と言っている。

理由は、おそらくシンプルです。そのほうが情報の確からしさが上がるからです。 プラットフォーム側も、どの情報を信じればいいのか判断したい。そのための基準点として、事業者自身のドメインを求めている。

つまり、独自ドメインを持つことは、私たち制作側が売りたいから言っているだけの話ではなく、情報を扱う側がそれを求め始めているという流れの中にあります。ここは、費用を判断するうえで押さえておいていただきたいところです。

独自ドメインのメールアドレスは、採用の土台になる

そしてもうひとつ。私がいちばん申し上げたいのが、この話です。

独自ドメインを取ると、ホームページだけでなく、そのドメインのメールアドレスをスタッフ一人ひとりに配れるようになります。 yamada@あなたの店.com という形です。

考えてみてください。従業員や社員に、フリーメールのアドレスしか渡せない会社に、今の若い世代の子たちが「入社したい」と思うでしょうか。

これは、フリーメールを使っているお店を悪く言いたいのではありません。個人でお店を切り盛りされている段階なら、それでまったく問題ないと思います。ただ、飲食店を軸にした「会社」を作ろうとしているのであれば、話は変わります。

求人に応募してくれた方の立場になってみましょう。面接の連絡が、フリーメールのアドレスから届く。会社名で検索しても、公式サイトが出てこない。この時点で、応募者は不安になります。「ここ、大丈夫かな」と。特に、他社も同時に受けている優秀な人ほど、この差に気づきます。

取引先や仕入先とのやりとりでも同じです。銀行との折衝ではなおさらです。相手は、あなたのお店を「個人商店」として見るのか「会社」として見るのかを、こういう細部で判断しています。フェアではないかもしれませんが、それが現実です。

取引業者だけではありません。これからあなたのお店を手伝いたいと思って入ってくる新入社員、これから出会う未来のスタッフたち。その人たちに、ちゃんとしたホームページがあり、お店オリジナルの独自ドメインを使ったメールアドレスを一人ひとりに渡せる。そこまで整えて、初めて採用の土台に立てると、私は思っています。

「独自ドメインにすれば人が採れる」などと申し上げるつもりはありません。採用は、待遇と、働く環境と、そこにいる人で決まります。ただ、土台に立てていない状態では、そもそも勝負にならないのです。

採用媒体に毎月かけている費用を思い出してください。求人サイトへの掲載料は、月に数万円から数十万円かかることも珍しくありません。それを払い続けている一方で、応募者が最初に見る自社の情報が整っていない。この順番は、もったいないと思いませんか。

なお、費用の話として正確に書き分けておきます。当社のプランに含まれているのは、独自ドメインとサーバーです。そのドメインでメールを運用するための仕組み(Google Workspaceなどのサービス)の利用料は、別途かかります。ドメインという土地は手に入りますが、そこにメールという建物を建てるには、別のお金が必要だとお考えください。とはいえ、こうしたサービスは1人あたり月数百円から千円台の水準で提供されているのが一般的で、採用に毎月かけている費用と比べれば、十分に検討に値する金額だと思います。

1本のドメインが、いくつの仕事をしているか

整理します。月々の費用で手に入れる独自ドメインは、1本で次の役割を同時に果たします。

役割 何が起きるか
ホームページの住所 デザインを作り替えても、URLは変わらず積み上がる
地図検索での基準点 各媒体でバラバラな店名・住所・電話番号に対して「正解はここ」を示せる
AI検索での情報源 AIが答えを書くとき、お店自身が公式に出している情報として扱われやすくなる
採用・信用の土台 スタッフに配れるメールアドレスになり、取引先・銀行・応募者への見え方が変わる
やめても残る資産 媒体の掲載をやめればページは消えるが、自分のドメインは残る

月額29,800円を「ホームページの維持費」として見ると、高く感じるかもしれません。ですが、その中身が「1本で5つの仕事をする資産の保有料」だと考えると、見え方が変わってくるはずです。


10|お金をかける前に|飲食店のホームページに必要な9つの中身

飲食店のホームページに必須の9項目
飲食店のホームページに必須の9項目

費用の話ばかりしてきましたが、そもそも何を載せるのかが決まっていなければ、見積もりようがありません。ここでは、飲食店のホームページに最低限必要な中身を9つ挙げます。逆に言えば、これ以外は後回しでいいということでもあります。

① 営業時間・定休日(いちばん見られている)

意外に思われるかもしれませんが、飲食店のサイトでいちばんよく見られるのは、料理の写真ではなく営業時間です。「今日やってるかな」「何時までかな」。お客様はそれを確かめに来ます。

だから、トップページを開いて3秒で営業時間が見えること。これが最優先です。年末年始や臨時休業を、その日のうちに反映できる作りになっているかも確認してください。

② 場所と行き方

住所を書いてあるだけでは足りません。「駅のどの出口から出て、何が見えたら曲がるのか」まで書いてあると、来店率が変わります。地下や2階の店舗、路地に入る店舗はとくにそうです。地図を埋め込むのは当然として、そこに一文の道案内を添えてください。

③ 料理の写真と、価格

写真だけでも、価格だけでも足りません。両方が並んで初めて、お客様は来店を決められます。「だいたいいくらで飲めるのか」がわからない店に、初めての人は入りません。コースがあるなら、税込・サービス料込みの総額がいくらになるのかまで書いてください。

④ メニュー(画像1枚で終わらせない)

紙のメニューを撮影して1枚の画像で貼っているサイトを、よく見ます。作るのは楽ですが、これはもったいない。スマホで拡大しないと読めませんし、文字として書かれていない情報は、検索やAIから見つけてもらいにくくなります。手間はかかりますが、文字で打ってください。

⑤ 予約への導線

どのページを見ていても、指の届く場所に予約ボタンがあること。電話番号はタップで発信できること。ネット予約を使っているなら、その入口が迷わない場所にあること。ここは第11章でも触れますが、いちばん多い失敗ポイントです。

⑥ お店の物語・つくり手の顔

ここが、グルメサイトでは絶対に伝えられない部分です。

なぜこの店を始めたのか。何にこだわっているのか。誰が作っているのか。この情報は、点数でも口コミでも代替できません。そして、あなたの店を「その他大勢」から引き剥がす、唯一の武器でもあります。

長い文章はいりません。300字でいい。ただし、他の店が書けないことを書いてください。「新鮮な食材を厳選しています」は、全国の飲食店が書いています。それはあなたの言葉ではありません。

⑦ 席・空間の写真

「個室はあるか」「何人まで入れるか」「カウンターはどんな感じか」。宴会や接待の予約を取りたいなら、ここは必須です。料理の写真ばかりで、店内が1枚もないサイトは驚くほど多い。

⑧ お知らせ・更新される場所

新メニュー、季節の仕入れ、臨時休業。ここが動いているかどうかで、「このお店、ちゃんとやってるな」という印象が決まります。半年更新されていないお知らせ欄は、無いほうがマシです。

⑨ 会社・お店の基本情報

屋号、運営会社、電話番号、住所。地味ですが、取引先や求人応募者、金融機関はここを見ます。採用を考えているなら、採用情報のページも早い段階で持っておくことをおすすめします。

この9つが、そのまま見積書になる

面白いもので、この9つを紙に書き出すと、必要なページ数が決まります。ページ数が決まれば、第3章の単価を当てはめるだけで、おおよその金額が自分で出せます。

見積を取る前に、この作業をやってください。制作会社に「おまかせで」と言うと、必ず高くなります。当たり前です。何が必要かわからないので、全部乗せるしかないからです。


11|安く作って失敗する、典型パターン7つ

費用を抑えること自体は、まったく悪いことではありません。私が問題だと思うのは、「何を削ったか」を理解しないまま安くしてしまうことです。よくある失敗を、7つに整理しました。

パターン1|テンプレートを買っただけで、中身が空

「デザインテンプレート19,800円」を購入して、写真を差し替えて完成。よくある形ですが、これで集客できることはまずありません。テンプレートは器であって、料理ではないからです。器だけ買っても、お客様に出すものがない。

パターン2|写真を削る

見積書で最初に削られるのが撮影費です。気持ちはわかります。しかし飲食店において、写真は商品説明そのものです。ここを削るのは、メニューブックから料理写真を全部消すのと同じ行為です。

パターン3|スマホで見ていない

これは驚くほど多い。飲食店を探すお客様の大半はスマートフォンを使っています。にもかかわらず、パソコンの大画面できれいに見えることを基準に検収してしまう。納品されたら、必ずご自分のスマホで開いてください。 文字が小さくないか、電話番号がタップできるか、地図がちゃんと出るか。ここで気づけることは山ほどあります。

パターン4|自分で更新できない形で納品される

安い制作会社ほど、更新の仕組みを入れずに静的なページで納品します。作るのは楽で速いからです。ところがその結果、営業時間を1行変えるのに毎回費用と数日が必要になる。そして誰も直さなくなる。

パターン5|予約導線がない、または深い

トップページに「ご予約はこちら」がなく、メニューを開いて、下までスクロールして、店舗情報のページに行って、ようやく電話番号が出てくる。この構造で予約が入ると思ってはいけません。予約への入口は、どのページからでも1タップで届く場所に置く。これが鉄則です。

パターン6|ドメインが制作会社の名義

繰り返しになりますが、いちばん取り返しがつかない失敗です。安さと引き換えに、自分の店の住所を他人名義で借りている状態になっていないか、契約書を確認してください。

パターン7|作ったあと、誰も見に行かない

公開してから半年、一度もアクセス数を見ていない。これは費用の失敗ではなく、運用の失敗です。何人が見に来て、どのページで離脱しているのか。月に1回、5分見るだけで、次に何を直せばいいかがわかります。

すでに公開したのに手応えがない、というお店は、ホームページを作ったのに集客できない理由に原因の切り分け方をまとめていますので、そちらを先にお読みいただくのがよいと思います。


12|制作会社の選び方|金額より先に、この5つを見てください

同じ50万円でも、依頼する相手によって手に入るものはまるで違います。そして、良い会社と合わない会社を見分けるのは、実はそれほど難しくありません。私が見ているポイントを5つ、包み隠さず書きます。

① 飲食店の制作実績があるか

これは絶対条件です。飲食店のホームページには、他業種と違う独特の勘所があります。

営業時間の見せ方、コース料金の表記、宴会の問い合わせ導線、写真の撮り方、繁忙期に更新が集中すること。これを知らない会社に頼むと、きれいだけど飲食店として機能しないサイトが出来上がります。

実績を見せてもらうときは、「作った直後の画面」ではなく「今も動いている実際のサイト」を見せてもらってください。そして、そのサイトのお知らせ欄が今も更新されているかを確認する。それが、その会社が「作って終わり」でない証拠になります。

② スマホでの見え方を、最初に説明してくれるか

飲食店を探すお客様の大半はスマートフォンです。にもかかわらず、提案書がパソコン画面のデザインだけで作られている会社は、まだあります。

打ち合わせの最初のほうで、向こうから「スマホでの見え方を優先しましょう」と言ってくれるかどうか。こちらが聞く前に出てくるなら、そこは信用していいと思います。

③ 写真をどうするか、一緒に考えてくれるか

「お写真はご支給ください」で終わる会社と、「今ある写真を見せてください、足りない分をどうするか一緒に考えましょう」と言う会社。この差は、完成物の差にそのまま出ます。

撮影を手配できるか、手持ちの写真をどう選ぶか、明るさの補正まで面倒を見てくれるか。飲食店の制作で、写真の話をしない会社は、飲食店をわかっていません。

④ 公開した後の話を、聞かれる前にするか

これが、私がいちばん重視しているポイントです。

提案の場で、公開後の運用の話が出てくるかどうか。「公開してからが本番です」「3ヶ月後にこういう見直しをしましょう」という話が、こちらから聞く前に出てくる会社は、まず間違いありません。

逆に、納品日までの話しかしない会社は、納品日で関係が終わります。それが悪いわけではありませんが、あなたはその後10年、そのサイトと付き合うことになるという事実だけは、忘れないでください。

⑤ 見積書が、項目ごとに分かれているか

「ホームページ制作一式 500,000円」。この1行だけの見積書を出してくる会社には、注意してください。

中身が分からない見積は、比較もできませんし、削ることもできません。「どこを削れば安くなりますか」と聞いたときに、その場で答えられるかどうか。これで、その会社が自分の仕事の中身を把握しているかがわかります。

相見積は3社まで。それ以上は迷うだけです

最後にひとつ。相見積は3社で十分です。5社、6社と取ると、比較する軸が増えすぎて、結局いちばん安いところか、いちばん話がうまいところに決まります。

3社に、まったく同じ条件を伝えて、まったく同じ質問をする。それだけで、驚くほどはっきり差が出ます。


13|補助金を使える場合があります

費用の話をするとき、必ずお伝えしているのが補助金の存在です。ホームページの制作費が、条件に合えば補助の対象になることがあります。

代表的なもの

  • IT導入補助金:業務の効率化やデジタル化を目的とした導入を支援する制度です。予約システムや業務用のシステムと組み合わせる場合に、対象となるケースがあります
  • 小規模事業者持続化補助金:小規模事業者の販路開拓を支援する制度です。ホームページ制作が販路開拓の取り組みとして認められる場合があります
  • 自治体独自の助成金:都道府県や市区町村が、地元事業者向けにホームページ制作費の一部を補助していることがあります

ただし、期待しすぎないでください

正直に申し上げます。補助金は、当てにして計画を立てるものではありません。

制度の内容や募集の枠は年度ごとに変わりますし、申請したからといって必ず通るわけではありません。対象になる経費の範囲も細かく決まっていて、「ホームページなら何でも対象」ということはありません。多くの制度は後払い(先に自分で払って、後から補助される)ですし、申請書類の作成にもそれなりの手間がかかります。

ですので、私はいつもこうお伝えしています。「使えたらラッキー、くらいで考えてください」と。補助金が出ないと成り立たない計画は、そもそも無理のある計画です。

調べ方

最新の情報は、必ず公的な窓口でご確認ください。

  • 中小企業庁や各補助金の公式サイト
  • お住まいの自治体の商工課、または商工会議所
  • 顧問の税理士さん(意外とご存じです)

制作会社に「補助金は使えますか」と聞くのも有効ですが、制度の可否を判断できるのは公的な窓口です。制作会社の説明を鵜呑みにせず、必ず一次情報で確かめてください。


14|予算別・現実的な選択肢

ここまでの内容をふまえて、「で、うちはどうすればいいのか」に答えます。ご自身の状況に近いところをお読みください。

月1万円までしか出せない場合

正直に申し上げると、この予算でプロに依頼するのは難しいです。ですが、打つ手はあります。

最優先は、Googleビジネスプロフィールの整備です。 費用は0円です。店名で検索したときに出てくる情報欄、あれをきちんと埋める。写真を10枚以上入れる。営業時間を正確にする。口コミに返信する。これだけで、ホームページを作る前に効果が出ることがあります。

その上で、月1,000円台の自作サービスで、1ページの簡潔なサイトを作る。載せるのは、店名・場所・営業時間・電話番号・料理写真5枚・予約リンク。これで十分です。中途半端に10ページ作るより、1ページを正確に保つほうが価値があります。

月3万円前後を出せる場合

ここからは、プロに任せる選択肢が現実的になります。

制作会社に一括発注するなら、初期数十万円を分割で払っていくイメージ。サブスク型なら、初期費用なしで制作から公開、その後の維持管理まで含めて任せられます。

当社のライトプラン(月額29,800円・税込)は、まさにこの層に向けたものです。5ページ程度のホームページを、独自ドメインとサーバー費用込みでご用意します。スマホ最適化、予約導線の設定、原稿作成、写真選定、セキュリティ保守と定期バックアップまで、この金額に含まれています。初期費用0円のため、最低契約期間は24ヶ月です。

この予算帯で私がいちばん強調したいのは、ページ数でも機能でもなく、この段階で自分のドメインを持っておくことです。開業して数年経ってから慌てて取るより、早いほうがいい。ドメインは、置いておいた年数そのものが価値になっていくからです。

月5万円前後を出せる場合

「作って終わり」から「毎月動かす」に移れる予算帯です。

この段階で効いてくるのが、情報の一元管理です。Googleをはじめとする各種の地図・検索サービスに散らばったお店の情報を、まとめて正しく保つ。営業時間を1箇所直せば全部に反映される状態にする。地味ですが、これができているお店とできていないお店では、「近くの飲食店」で探されたときの見つかりやすさが変わります。

当社のスタンダードプラン(月額49,800円・税込)は、ライトの内容に加えて、30以上の媒体の店舗情報の一元管理と、ブログ・お知らせの月2本の更新、Googleビジネスプロフィールの運用までを含みます。

月10万円前後、または初期100万円を出せる場合

写真と動画に投資できる帯です。ここまで来ると、ホームページは「情報を載せる場所」ではなく「お店の世界観を伝える媒体」になります。

当社のプレミアムプラン(月額99,800円・税込)では、スタンダードの内容に加えて、プロカメラマンによる撮影を年2回、PR動画と本格的なコンテンツ制作、月次レポートと伴走サポートまでお引き受けしています。

多店舗・フランチャイズ本部の場合

店舗ごとにバラバラの制作会社に頼んだ結果、更新ルールも品質も統一できていない。多店舗展開されている企業様では、これが最大の悩みになります。

当社のエンタープライズプラン(月額198,000円・税込)は、10店舗以上・フランチャイズ本部の横断運用を想定したもので、業務用の各種システムとの連携や、専門コンサルタントによる現地訪問での打ち合わせを含みます。

プラン早見表

プラン 月額(税込) 初期費用 主な内容
ライト 29,800円 0円 〜5ページ・独自ドメイン+サーバー込み・スマホ最適化・予約導線
スタンダード 49,800円 0円 ライトの全内容+30以上の媒体の情報一元管理・月2本の更新・Googleビジネスプロフィール運用
プレミアム 99,800円 0円 スタンダードの全内容+年2回の撮影・PR動画・月次レポート
エンタープライズ 198,000円 0円 プレミアムの全内容+各種システム連携・現地訪問の打ち合わせ

※すべてのプランで初期費用0円のため、最低契約期間は24ヶ月とさせていただいています。

※詳しい内容とご相談は飲食店のホームページ制作・運用のページにまとめています。


15|金額を決める前に、やっておくべきこと

「何のために作るのか」を1行で書く

見積を取る前に、紙に1行だけ書いてください。

「うちのホームページは、(    )のために作る」

ここが埋まらないまま相見積を取ると、いちばん安いところに決まります。そして安いところは、あなたが何をしたいのかを聞かないので、結局何にも効かないサイトが納品されます。

書き方の例を挙げます。

  • 「電話予約の取りこぼしをなくすために、ネット予約への導線を作る」
  • 「宴会の問い合わせを増やすために、コース内容と個室の写真を見せる」
  • 「求人に応募が来ないので、働いている人の顔と考え方を伝える」
  • 「グルメサイト経由の手数料を減らすために、直接予約の受け皿を作る」

この1行が決まると、必要なページ数が決まり、必要な写真が決まり、金額が決まります。順番が逆なのです。予算から入るのではなく、目的から入る。そうすれば、「その機能、うちに要りますか?」と制作会社に聞けるようになります。

相見積を取るときの質問リスト

3社から見積を取るなら、全社に同じ質問をぶつけてください。答えの中身より、答え方を見てください。

  1. 原稿はどちらが書きますか。含まれていますか
  2. 写真撮影は含まれますか。含まれない場合、いくらですか
  3. ドメインの名義は、うちの店になりますか
  4. 公開後、営業時間やメニューは自分で変更できますか
  5. 月々かかる費用は、合計でいくらですか
  6. 契約を終える場合、データとドメインは引き渡してもらえますか
  7. 公開してから3ヶ月後、何をしてもらえますか

とくに7番目が効きます。「公開後の話を、聞かれる前に説明してくれる会社かどうか」で、その会社が作って終わりなのか、続きを考えているのかがわかります。

公開後の最低限の確認

作ったあと、月に1回だけでいいので、次の3つを見てください。5分で終わります。

  • 何人が見に来たか(アクセス数)
  • どこから来たか(検索なのか、SNSなのか、グルメサイトなのか)
  • どのページで帰ってしまったか

ここで「メニューページを見た人が多いのに予約に進んでいない」とわかれば、メニューページに予約ボタンを足す、という次の一手が決まります。ホームページは作品ではなく、道具です。使いながら、直していくものです。


16|私たちの考え方

当社制作事例:WAGYU UTOKA(港区・白金/和牛ダイニング)
当社制作事例:WAGYU UTOKA(港区・白金/和牛ダイニング)
当社制作事例:回転寿司 活美登利(多店舗ブランドサイト)
当社制作事例:回転寿司 活美登利(多店舗ブランドサイト)
当社制作事例:京都伏見稲荷 OICYビレッジ
当社制作事例:京都伏見稲荷 OICYビレッジ

最後に、少しだけ当社の話をさせてください。

私たちは、飲食店のWEB集客のお手伝いを長く続けてきて、累計1,000店舗以上のお店に関わらせていただきました。その中でずっと感じてきたのは、「作る」ことより「続ける」ことのほうが、はるかに難しいという現実です。

数十万円をかけて立派なサイトを作った。公開の日は嬉しかった。でも半年後、営業時間は古いまま、新メニューは載っていない。そういうお店を、本当にたくさん見てきました。オーナーが怠けているのではありません。飲食店の毎日に、その作業をする時間が物理的に無いだけです。

もうひとつ、私たちの立場について申し上げておきます。当社は、ホームページを作るだけの会社ではありません。各種のグルメサイトや地図サービスの運用そのものを、日々代行している当事者です。毎日、実際の管理画面に入り、写真を差し替え、情報を直し、数字の動きを見ています。

だからこの記事に書いたことは、制作会社が外側から語る一般論ではありません。媒体の中で何が起きているかを毎日見ている人間が、それでもなお「自分のドメインを持ってください」と申し上げている、ということです。ここは信じていただいて構いません。媒体の力を否定しているのではなく、媒体の力を誰よりも知っているからこそ、その外側に自分の足場を持ってほしいのです。

だから当社は、初期費用を0円にして、制作から公開後の更新までを月額に含める形にしました。まとまった初期投資が難しいお店でも本格的なホームページを持てるようにするため、そして「作って終わり」にしないためです。その代わり、制作費を分割でいただく形になりますので、最低契約期間は24ヶ月とさせていただいています。この条件は、最初にはっきりお伝えするようにしています。

そしていちばん下のライトプランにも独自ドメインとサーバーを含めているのは、そこが本体だと考えているからです。ページの枚数や機能は、あとからいくらでも足せます。でも、自分の店の住所を持っているかどうかだけは、あとから時間を巻き戻せません。地図で見つけてもらうときも、AIに聞かれたときも、そしていつか一緒に働く人を迎えるときも、その1本が土台になります。

もちろん、当社が唯一の正解だとは思っていません。予算がしっかり確保できていて、こだわりを形にしたいなら、腕のいい制作会社に一括で発注するほうがいい場合もあります。まずは自分で作ってみるのが正しい局面もあります。

ただ、これだけは申し上げます。

「もう少し落ち着いたら考えよう」は、永遠に来ません。飲食店に落ち着く時期なんて無いことは、あなたがいちばんよくご存じのはずです。繁忙期が終われば閑散期の対策があり、それが終わればまた繁忙期が来る。私はこの業界を長く見てきて、「落ち着いたら」と言ったお店が本当に落ち着いた例を、ほとんど知りません。

だから、今日やってほしいことをひとつだけ。あなたのお店の名前を、スマホで検索してみてください。今すぐです。1分で終わります。

そこに出てきたものが、今のあなたのお店の姿です。他人が作ったページと、他人が書いた点数と、他人が撮った写真。それを見て「まあ、こんなもんか」と思えるなら、この記事は忘れてください。

でも、もし少しでも「違うんだよな」と思ったなら。あなたが毎日カウンターの向こうで大事にしていることが、そこに1ミリも映っていないと感じたなら。それが、あなたが自分のドメインを持つべき理由です。金額の話は、そのあとでいい。

この記事が、あなたが見積書を前にして止まっていた手を、動かすきっかけになれば嬉しく思います。


よくあるご質問

Q. 結局、飲食店のホームページ制作費用の相場はいくらですか?

制作会社によって幅がありますが、初期の制作費用として数十万円、これとは別に月々の保守・更新費用がかかる形が一般的です。個人1店舗でテンプレートをベースにするなら15〜30万円程度、オリジナルのデザインで作り込むなら40〜80万円程度という水準がよく見られます。ただし、撮影・原稿・予約システム連携が含まれるかどうかで大きく動きますので、金額だけを比べても意味がありません。

Q. いちばん安く済ませる方法は何ですか?

費用だけで言えば、ホームページ作成ソフトを使った自作です。月1,000円台から始められます。ただし、あなたの十数〜数十時間が消えることと、8割で止まりやすいことは覚悟してください。「安い」の中身が、お金なのか時間なのかを分けて考えることをおすすめします。

Q. 本当に初期費用0円で作れるのですか?

作れます。当社の場合、制作費を月額に含める形にしているため、初期費用0円でスタートできます。その代わり、最低契約期間を24ヶ月とさせていただいています。制作費を分割でいただく形だからです。初期費用0円をうたっていて、最低契約期間の説明がない会社があれば、必ず確認してください。

Q. ホームページの月額費用は、何に使われているのですか?

サーバー代・ドメイン代といった維持費、セキュリティ対策やバックアップなどの保守、そしてプランによっては更新代行や情報管理の運用費です。当社の月額には、これに加えて制作費の分割分が含まれています。

Q. 保守契約は付けないとダメですか?

契約自体は任意です。ただ、外すのであれば「サーバーとドメインの更新を誰が管理するのか」「システムの更新を誰がやるのか」「表示されなくなったとき誰が直すのか」を、事前に決めておいてください。ここが決まっていない状態で外すのが、いちばん危険です。

Q. グルメサイトをやめて、ホームページ1本にできますか?

おすすめしません。グルメサイトは「知らない人に見つけてもらう入口」、ホームページは「見つけた人に決めてもらう場所」です。役割が違います。まずは自分のホームページを整えてから、グルメサイトのプランを見直す。この順番なら、費用を落としても予約が落ちにくくなります。

Q. 独自ドメインは、なぜそんなに大事なのですか?

ページのデザインは何度でも作り替えられますが、ドメインは一度取れば、手放さないかぎりずっとあなたのものだからです。地図検索で「このお店の公式情報はここ」という基準点になり、AIが答えを書くときの情報源になり、スタッフに配れるメールアドレスにもなります。1本で何役もこなす資産です。詳しくは第9章をお読みください。

Q. ドメインは自分のものになりますか?

当社では、独自ドメインはお店様の資産として取得・運用します。サーバー費用も月額に含まれるため、別途のお手続きやお支払いは不要です。他社にご依頼される場合も、契約前に必ず名義を確認してください。制作会社名義になっていると、あとで身動きが取れなくなります。

Q. ドメインのメールアドレスも使えますか?

独自ドメインをお持ちいただければ、そのドメインでメールを運用することは可能です。ただし、当社のプランに含まれるのは独自ドメインとサーバーで、メールを運用する仕組み(Google Workspaceなど)の利用料は別途となります。この点は契約時にはっきりお伝えしています。

Q. どのくらいで公開できますか?

制作会社への一括発注なら2〜3ヶ月が一般的です。当社の場合は、写真や原稿の状況にもよりますが、最短2週間程度から公開できます。ヒアリング、構成と原稿のご提案、写真と内容のご確認、公開と初期設定、という流れです。

Q. パソコンが苦手なのですが、大丈夫でしょうか?

大丈夫です。むしろ、そういう方のために月額型のサービスがあります。原稿の作成も写真の選定も、更新の代行もこちらでお引き受けします。オーナーさんにお願いするのは、「うちの店はこういう店です」と話していただくことだけです。


まとめ|迷ったら、この6つだけ持ち帰ってください

  1. 費用は「初期」と「毎月」の2階建て。制作会社の見積とサブスクの月額は、そのままでは比べられない
  2. 金額の差は、あなたのお店に使う時間の差。安い=手抜きではなく、関わる時間が短いという意味
  3. 原稿と写真を削ると、集客力が落ちる。デザインより先に、ここを守る
  4. 保守は維持費ではなく、営業させ続けるための費用。切ると静かに損失が積み上がる
  5. あなたが買っているのは、ページではなくドメインという資産。地図検索の基準点になり、AIが答えを書くときの情報源になり、スタッフに配れるメールアドレスになる。1本で何役もこなす
  6. 目的を1行で書いてから、見積を取る。順番を逆にすると、いちばん安いところに決まってしまう

㈱デリシャスノーツでは、飲食店さま向けに飲食店のホームページ制作・運用をご提供しています。初期費用0円・月額29,800円(税込)から、独自ドメインとサーバー費用込みで、制作から公開後の更新までまるごとお引き受けします。

「うちの店の場合、どのくらいの規模が妥当か相談したい」「今の見積書が適正か見てほしい」といったご相談も歓迎です。お問い合わせフォームよりお気軽にお寄せください。

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