シルバーウィーク明けの9月25日(金)、強火 -TSUYOBI- を三曲同時に配信します

デリシャスノーツの長屋です。
シルバーウィークが明けた2026年9月25日、金曜日。強火 -TSUYOBI- の新曲が三曲、同じ日に世界のストアへ並びます。
10曲目「一杯のコーヒーのまほう」、11曲目「すき焼きナイト」、12曲目「ワインが好きでもいいじゃない」。これで当社の楽曲は、通算12曲になります。
連休明けの金曜の夜に、雨の日の喫茶店と、湯気の立つ鍋と、グラスの赤を一度に置いていく。今日はその三曲の話をさせてください。
一日の食卓を、朝から夜まで通しで作りました
三曲まとめて出す理由は、並べてみるとすぐにお分かりいただけます。
コーヒー、すき焼き、ワイン。静かなカウンターから、囲んで食べる夜の卓、そして栓を抜いてからの一杯まで。一日の食卓を、通しで一枚に並べたかったのです。
飲食店の一日も、だいたいこの順番で動きます。朝は豆の香りから始まって、夕方に火が入り、夜が更けるころにグラスが鳴る。三曲を続けて再生していただくと、ちょうど一日ぶんの空気が流れます。プレイリストの順番まで含めて、今回はひとつの作品だと思っています。
お客様の一日も、同じように移り変わります。朝は一人で静かに座りたい。夜は誰かと同じ鍋を囲みたい。その後は、もう少しだけ夜を伸ばしたい。飲食店という仕事は、その移り変わりに合わせて、火の強さと、皿の温度と、店に流れる音を変えていく仕事です。三曲を一度に出したのは、その一日ぶんを、そのまま一枚の献立にしてお渡ししたかったからです。
もうひとつ、シリーズにとって大きな一歩があります。これまでの9曲は、どれも料理が主役でした。今回はコーヒーとワインで飲みものが二曲入り、強火 -TSUYOBI- のメニューに、ようやくドリンクのページがつきました。
そして日取りは、連休明けの金曜日です。シルバーウィークが終わって、街に人が戻り、厨房にまた火が入る日。その朝、店のスピーカーに新しい三曲が増えている。今回いちばんやりたかったのは、この景色でした。
10曲目「一杯のコーヒーのまほう」——強火が、淹れてもらう側に座ります
一曲目の舞台は、雨の日の古い喫茶店です。ドアのベルがカランと鳴って、雨の匂いと深煎りの香りが一緒に入ってきます。
主役は長男の強火、ひとりきりの席です。豆を挽くのも、湯を落とすのも、カップを出すのも、カウンターの向こう側の仕事になります。火の名前を持つ男が、この日だけは椅子に座って、その手つきを眺めている。曲の中で起きているのは、それだけです。
自分で作るときの待ち時間は、工程の一部です。煮えるあいだに洗いものをして、焼けるあいだに皿を出す。人に淹れてもらうときだけ、待つことがまるごと待つことになります。受け取る側に座ってはじめて書けた数分が、この曲の芯にあります。
絵として置いたのは、深緑のネルドリップです。紙ではなく布で漉す淹れ方で、何年も使い込んだ布は緑がかって見えます。カウンターの端に吊るされたあの一枚は、その店が何年やってきたかを黙って語ります。そこから滴が、数えられそうな速さで一粒ずつ落ちてきます。
歌の中心には、二行を置きました。カップを置くときの優しい音と、「お待たせしました」の低い声です。毎日同じ調子で同じ台詞を言う人の、平熱の声。あの一言を受け取った瞬間に、店へ来た甲斐が全部そろいます。
題も歌詞も、ひらがなの「まほう」で通しました。この曲で起きるのは、ベルが鳴って、豆が挽かれて、湯が落ちて、飲んで、出ていく、それだけです。悩みは抱えたまま、雨も降ったまま。それでも「まほう」と呼びたくなる。その大きさに合わせると、ひらがなのほうが口のなかで音が丸くなります。
面白いのは演奏です。4分42秒、テンポは1分間に約136。J-ロックの、走るほうの速さです。いっぽう歌詞は、時計の針が少しだけ遅くなる時間を歌っています。言葉は静かで、バンドは前のめり。扉一枚をはさんで、店の中の速さと、外の街の速さが同時に鳴っている曲です。
喫茶店は、手ぶらの理由で入れる店です。一杯で一時間いられて、出るときには「いってらっしゃい」と背中で受け取る。終点ではなく、出口として使われる店。四分四十二秒は、そのための時間です。
60秒だけ先に聴く
サビを中心に切り出した60秒のサンプルです。
- 一杯のコーヒーのまほう強火 -TSUYOBI-/10曲目・2026.9.25
60秒のサンプルです。
11曲目「すき焼きナイト」——卓の真ん中に、黄色い月が上がります
二曲目は夜です。主役は次男の中火。ジャケットは提灯の明かりが低く落ちた和室で、浅い鉄鍋を囲んで三兄弟がそろって卓についています。長男の強火、次男の中火、末っ子の弱火。三人が同じ鍋を囲んだ絵は、シリーズでも貴重な一枚になりました。
すき焼きは、鍋ごと卓に上がって、火が入ったまま進む料理です。向かい合って座れば視線の高さがそろい、相手がどこへ箸を伸ばしたかまで見えている。座った瞬間から、もう距離の話が始まっています。しかも火加減がそのまま味になるので、二人でちょうどいいところを探し続けることになります。強火、中火、弱火。三兄弟の名前が、そのまま一つの鍋の上に並ぶ料理でもあります。
この曲でいちばん気に入っている見立ては、生卵です。小鉢の底で、黄身が丸く座っている。それを「黄色い月」と呼んだ瞬間、甘辛い湯気の上に、もう一つ夜空が増えます。月は照らすだけで、手は出しません。鍋の熱の反対側に、ひんやりと丸い光がひとつ浮かんでいる夜です。
そして、「冷めてしまう前に 救い出して」。すき焼きの牛肉は、割り下にくぐらせる時間が短いほどうまい。色が変わったら数秒で引き上げて、卵にくぐらせて口に入れる。肉に向けた言葉のかたちをしていて、そのまま向かいの人へ向いています。恋が急ぐ理由を、すき焼きは鍋の中で毎回実演しています。
もう一か所、春菊です。割り下は砂糖と醤油の味で、甘くて、辛くて、誰でもうまいと言い切れます。そこへ苦い一束が入ります。苦味はあとから覚える味で、最初は端に寄せていたものを、いつのまにか自分から取りにいっている。「春菊の苦さも 大人の階段」。一段上がるたびに、好きの量が増えていきます。甘辛いだけで終わらせたくない夜に、あの一口はちょうどよく効きます。
曲は、しめのうどんまで行きます。肉の脂と野菜の水分と砂糖と醤油が全部溶けた、煮詰まった割り下。そこにうどんを落とす瞬間が、この夜の最後です。鍋底の一杯は、最後まで残った人の特権になります。
3分57秒、シティポップ寄りの一曲です。普段は韻を踏んで早口で走る次男が、ここでは三分五十七秒のあいだずっと歌にまわっています。得意な武器を卓の外に置いてきた声が、この曲の真ん中にあります。
60秒だけ先に聴く
サビを中心に切り出した60秒のサンプルです。
- すき焼きナイト強火 -TSUYOBI-/11曲目・2026.9.25
60秒のサンプルです。
12曲目「ワインが好きでもいいじゃない」——コルクの音が、夜の開始スイッチです
三曲目は、その夜の続きです。中火がもう一度、真ん中に立ちます。
題名の後半に、この曲の全部が入っています。「でもいいじゃない」。言い訳の顔をして、中身はまっすぐな宣言です。ワインの話は少し構えて始まりがちで、詳しい人が隣にいると、好きだと言うだけで値踏みされそうな気配があります。その気配に、題名のほうから先に手を挙げました。気取って見える言葉を、気取らずに歌う。やっているのはその一点です。
四分二秒のあいだに、品種の名前が次々に出てきます。カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、シャルドネ、そしてシャンパーニュ。品種の名前は土地の名前とつながっているので、呼ぶたびに地面ごと変わります。椅子に座ったままの旅行記です。
色と温度は、四分のあいだにひと巡りします。赤の重みから始まり、白へ移ると景色がいっきに明るくなって、そこへ泡が立ち上がる。終盤には甘口まで顔を出します。一本ずつじっくり語れば講義になりますが、この速さなら、流れていく景色になります。窓際の席で栓が抜かれ、注がれ、乾杯が起きて、話が弾んで、時間が飛ぶ。にぎやかな夜の進み方に、拍がそのまま合っています。
テンポは1分間に170から180ほど。ダンスポップとしても速いほうで、注いで、回して、香って、また次へ、と景色が流れていきます。その速さが終盤の「最後のひとくち」でだけゆるんで、グラスの底が見えてきます。駆け抜けたあとの一滴だけが、ゆっくり落ちる。四分二秒の設計でいちばん好きなのは、この落差です。
サビは「コルクを抜いたら 始まるストーリー」。中火の手にあるのは、グラスではなく栓を抜く道具のほうです。ポンと鳴って、注ぐ音がして、それから乾杯になる。あの一秒が、夜の開始スイッチです。ジャケットでグラスを持っているのは長男の強火だけで、弟二人は未成年という設定ですから、それぞれ抜く係とつまみ係を務めています。
着地はここです。「ソムリエも知らない 二人だけの味」。等級も評価も、最後は向かいに座っている人の顔へ吸い込まれていきます。覚えた言葉は、全部そこへ持っていくためにあります。
60秒だけ先に聴く
サビを中心に切り出した60秒のサンプルです。
- ワインが好きでもいいじゃない強火 -TSUYOBI-/12曲目・2026.9.25
60秒のサンプルです。
三十年前のMDの話を、tsuyobi.com に書きました
この三曲に合わせて、レーベルのサイトに長い記事を一本公開しました。題は『三十年、MDの中で眠っていた三百曲へ ── デリシャスノーツは「飲食専門レーベル」になります』です。
要点だけ先に書きます。
- 学生時代にPC-9801を買い、打ち込みで約300曲を作ってMDに残しました。あの頃の届け先は、部屋の壁までです。
- 三十年たって、AIという相棒を得たことで、その続きが世界のストアに並ぶ時代になりました。
- 強火 -TSUYOBI- の曲は、飲食店の営業中に、店内でかけていただくために作っています。
- デリシャスノーツは飲食専門レーベル(当社調べ)として、食育とウェルビーイングまで手を伸ばしていきます。
私の三十年と、これから当社がやることを全部書きました。少し長いので、お茶でも淹れてからどうぞ。続きはこちらでお読みいただけます。
曲は私が書き、歌と演奏はAIが担当します
役割をはっきりお見せしておきます。作詞・作曲は長屋大輔、つまり私です。歌唱・演奏・編集はAIが担当しています。AIを使っていることは、配信元にも開示済みです。
三十年前は、書いた曲が部屋の中で止まっていました。歌ってくれる人を探し、弾ける人を集め、スタジオを押さえるところまで行って、はじめて人の耳に届く。学生の私には、はるか向こう側の話でした。いまは、朝に書いた曲がその日の夕方には声を持ちます。三十年ぶんの火種に、ようやく再生ボタンがついた実感があります。
この線引きには、こだわりがあります。どんな料理を主役にするか、誰の目でその夜を見るか、どの一行をサビに置くか。そこは三十年前と同じで、私が机に向かって決めています。AIは、そこから先の道のりを一気に短くしてくれる相棒です。曲が声を持つまでの時間が縮んだぶん、世に出せる本数が増えました。
その手順も、隠さず公開しています。曲を作ってから世界のストアに並ぶまでに何をするのか、AI作曲から配信までの手順にまとめました。自社の曲を持ってみたい社長さんは、そのまま真似していただいてかまいません。
飲食店の皆様へ。営業中の店内で、どうぞかけてください
ここが、今日いちばんお伝えしたいところです。
飲食店の空間は、目に入るものと、耳に入るもので決まります。内装と食器と盛り付けには、皆様うんと気を配られます。そこへもう一つ、耳のほうにも味方を置いてみてください。BGMは、お客様の滞在時間と気分を静かに動かします。
強火 -TSUYOBI- の曲は、はじめから店内で流していただくことを想定して作りました。歌詞の真ん中に料理と飲みものがあるので、聴いているうちにその一皿を頼みたくなります。すき焼きの曲が流れる鍋の店、ワインの曲が流れるビストロ、コーヒーの曲が流れる喫茶店。想像するだけで楽しくなります。
使い方は、いつものプレイリストに一曲混ぜるところから試してみてください。音量は、お客様の話し声が主役で、音楽はその下を静かに流れるくらいが心地よく収まります。今回の三曲はテンポがそれぞれ違いますので、時間帯で選び分けていただけます。昼の忙しい時間には走るほうを、夜の落ち着いた時間には湯気の速さのほうを。同じ店の中でも、音で景色が変えられます。
権利まわりを、はっきり書いておきます。楽曲の作詞作曲は当社代表・長屋が行い、歌唱・演奏・編集にAIを利用しています。飲食店の営業中の店内BGMとして、当社が保有する権利の範囲で無償で再生を許諾します。サブスクの個人プランは店内利用ができない場合があるため、各サービスの規約をご確認ください。iTunes Store や Amazon で1曲ずつ購入した音源なら安心してお使いいただけます。
「うちの店でかけてみたよ」と一言いただけたら、それだけでこのレーベルは先へ進みます。感想は、遠慮なく私まで届けてください。
9月25日、あなたのお店でも一曲
配信先は、Spotify、Apple Music、YouTube Music、Amazon Music ほか、世界の主要なストアです。iTunes Store と Amazon では、1曲ずつ購入することもできます。
配信前のいまは、各曲のページから「先に保存(プリセーブ)」ができます。押しておいていただくと、9月25日にご自身のライブラリへ自動で入ります。
- 10曲目 一杯のコーヒーのまほう(4分42秒/雨の日の喫茶店)
- 11曲目 すき焼きナイト(3分57秒/鍋を囲む夜)
- 12曲目 ワインが好きでもいいじゃない(4分2秒/栓を抜いてから)
これで12曲になります。飲食店の一日に鳴らせる曲が、少しずつそろってきました。この先は、ランチの時間にも、仕込みの朝にも、暖簾を下ろしたあとの一杯にも合う曲を、一本ずつ増やしていきます。
三十年前、私の曲が届く範囲は六畳間の壁まででした。そのMDが棚に並んだまま、私は飲食店の集客を仕事にしてきました。その二つが、2026年にようやく一本につながります。店で鳴る曲を、店のことを毎日考えている人間が作る。ここから先が本番です。
シルバーウィーク明けの金曜日、9月25日。厨房に火を入れながら、あなたのお店でも一曲、鳴らしてみてください。カウンターの向こうで誰かが小さく口ずさんだら、それがこのレーベルの成功です。
㈱デリシャスノーツでは、飲食店の集客のご相談を承っています。「店内でかける曲の選び方も一緒に考えてほしい」というご相談も、お問い合わせフォームよりお寄せください。
