日本酒応援サイト「サケナビ」掲載日本酒絶賛募集中です。

「動画は不要です。私がめくって読みます」Claude Opus 5.5と働いた4日間、社長の仕事はどこへ移ったか

閉じたノートPCを持つ人物の写真に明朝体で「一言で、段取りまで、返ってくる。」

「これ、理解してもらうには、動画を撮ったほうがいい?」

9月25日の昼。macOS 27の新機能を早く把握したくて、私はMacのデスクトップに「ヒント」アプリを広げ、AIに画面を見せようとしていました。返ってきたのは、こんな一言です。

「動画は不要です。私がめくって読みます。」

相手は、9月22日に公開されたばかりのClaude Opus 5.5。今週の頭から、当社ではシステムの修正や調べものの大半を、この新しいAIに任せてきました。その4日間で起きたことと、社長として感じたことを書きます。

目次

9月22日、新しい相棒が届きました

先に公式の発表をひとまとめに。Anthropic社によると、Claude Opus 5.5は多くの業務で上位モデルのFable 5.1に相当する性能を持ち、ひとつ前のOpus 5と比べて運用コストは40%減、処理は30%以上速くなりました。料金は100万トークン(AIが文章を数える単位)あたり入力4ドル/出力20ドル。AIが勝手な振る舞いをしないかを調べる自動行動監査では、過去最高の成績だそうです(出典:Anthropic公式ページ)。

ただ、4日間使って私の手に残った感触は、速さや点数とは別のところにありました。

一言の依頼が、段取りごと返ってきた

私がしたのは、画面を操作する許可を1クリック出したことだけ。Opus 5.5は、私の作業を邪魔しない裏側の操作で「新機能」のページを1枚ずつ送り、中身を読んでいきました。

macOS 27「ヒント」アプリの「新機能」。メールボックスやSafariのページを下にスワイプして更新する方法の案内 「ヒント」アプリの新機能1/4。下にスワイプするだけで、メールやSafariのページ、Podcastの最新エピソードを更新できます

読み終えたAIの判断は明快でした。新機能は2項目。下にスワイプしてページを読み込み直せることと、すりガラス調の「Liquid Glass」の見え方をスライダーで調整できること。そのうえでAppleの公式情報まで読みにいき、裏を取ってから報告してきました。

macOS 27「ヒント」アプリの「新機能」。システム設定の外観でLiquid Glassの色合いと透明度をスライダーで調整する方法の案内 新機能2/4。システム設定>外観で、Liquid Glassの見え方をスライダーで調整できます

これが、今週いちばん強く感じたことです。指示は一言。下調べも、読み取りも、裏取りも、段取りごと引き受けてくれる。

以前は、AIに手順を1つずつ渡していました。いまは目的を渡せば、手順はAIの側で組み立ててきます。社員に「これ、頼む」と言える感覚に、ぐっと近づきました。

毎年9月中旬は、Appleの「OSの世代交代の週」です

新しいMacのOSは、毎年9月の中旬にやってきます。理由はiPhoneにあります。

Appleは6月の開発者向け会議(WWDC)で次のOSを発表し、夏のあいだ試用版で磨き、9月に発表した新しいiPhoneの発売に合わせて、iPhone・iPad・Macなどの全OSを一斉に正式公開します。iPhoneとMacを行き来する連係やミラーリングを、同じ世代でそろえて動かすためです。Macも、この世代交代の一員です。

今年は9月9日にiPhone 18 Pro/Pro Maxと折りたたみのiPhone Duo、新しいApple Watch、AirPods 5が発表され、予約が12日、発売が18日。その間の9月14日に、iOS 27とmacOS 27(愛称Golden Gate)を含む6つのOSが同じ日に公開されました。macOSの公開日は、2022年のVenturaが10月24日、2023年のSonomaが9月26日、2024年のSequoiaが9月16日、2025年のTahoeが9月15日。ここ数年で、9月中旬にぴたりとそろってきました。

経営者のみなさんには、毎年9月中旬を「OSの世代交代の週」としてカレンダーに入れておくことをおすすめします。

「不具合が多い」の声を横目に、9月23日に更新を決めた

正直に書くと、私は最初、様子を見ていました。9月14日の公開直後から、X(旧Twitter)のタイムラインには「macOS 27にしたら不具合が多い」という声が目立っていたからです。

それでも、古いまま放っておくわけにもいかない。修正パッチもすぐに出るだろう。そう判断して、9月23日の午後に更新を決めました。

様子見は1週間ほどが目安だと思います。大事なのは、待つ間に「止まると困る道具はどれか」を確かめておくこと。当社は8月に、開発の道具113本を先回りでApple Silicon用へ移していました。それでも入れたその日に、1個だけ引っかかりました。

「本当の問題はなんだ?」に、事実で返ってきた

話をOpus 5.5の報告に戻します。読んで、私は物足りなさを覚えました。公式情報の整理としてはよくまとまっている。けれど、macOS 27を入れた当社で実際に何が起きたのかが、すっぽり抜けていたのです。

私はこう投げました。

「macOS 27に変わった本当の問題が書かれてない。入れたあと何があった? miniにClaudeが2本入ってトラブった本当の理由はなんだ? ロゼッタストーンがこのバージョンから無くなったんじゃないのか? 過去のブログにあっただろう。確認してみて」

ここからが今週の山場です。Opus 5.5は、社内の作業記録、8月6日の過去記事、実機の3つを突き合わせて、事実を返してきました。

当社のMacBookは9月23日にmacOS 27へ更新していた。そのあとRosetta(Intel用の古いプログラムを、いまのMacで通訳して動かす仕組み)の本体が消え、Intel用の古い部品が1個「Bad CPU type」で起動できず、GitHub(プログラムの保管場所)への送信が止まっていた。Appleの方針ではRosettaはmacOS 27まで提供されるので、廃止とは別の話。入れ直す道もあるが、来年のmacOS 28を見越してApple Silicon用に差し替え、当日中に復旧させた──という報告です。

閉じたMacの上に古代の石板が置かれた写真に「通訳が、いなくなった日。」の見出し Rosettaは「通訳」の仕組み。その通訳が、macOS 27への更新でMacから姿を消しました

1個で済んだのは、8月6日の記事(「Macに毎朝出るあの警告、放置すると来年の秋に仕事が止まるかもしれません!」)の先回りが効いたから、とも。

一方で、「Mac miniのClaudeが2本」は別の原因でした。Mac miniはまだmacOS 26のままで、Rosettaも正常に動いている。古い版と新しい版のClaudeが2本入っていて、自動処理が古いほうを呼び続けていたうえに、ログインの期限も切れていた。

つまり、私の見立ての半分は当たっていて、半分は別の原因だった。 AIはそれを、記録と実機の事実でまっすぐ返してきました。

少し悔しく、それ以上にうれしかった。社長の思い込みを事実で正してくれる相手がいる会社は強い。問いを出すのは人、裏を返すのはAI。 その分担がきれいに回った瞬間でした。

新曲の動画づくりで、つまずきと撮り直しを見届けた

同じ9月25日、当社の音楽プロジェクト「強火 -TSUYOBI-」は、世界177の国と地域へ3曲を同時に配信しました(配信のお知らせ)。せっかくなので、私はもう1つ頼みました。

「FRIDAYと話しているところを動画にして、今日配信した3曲のうち『ワインが好きでもいいじゃない』を再生しているところを撮って。歌詞も中央のディスプレイにオーバーレイで流して」

FRIDAYは、当社自作の声で話すAI画面「JARVIS」の、もう1人の人格です。

当社の自作JARVIS HUDの待機画面。中央にINITIALIZEボタン、左にシステム状態、右に操作ログ 当社の自作JARVIS HUDの待機画面。左側の一部は社内情報のため、ぼかしを入れています

Opus 5.5はその午後のうちに、JARVISへ歌詞表示の機能を作り足しました。曲を文字起こしAIにかけ、公式歌詞の各行が歌われる時刻を割り出す仕組みです。録画機能と、録画中は社内の数字の欄を自動で隠す仕掛けも用意してきました。

ここからは、つまずきの連続でした。

まず、録画のためにMacの音を消していて、リビングの画面にミラーリングして見ていた私から「なんで音が鳴らないの?」。次に、1本目はFRIDAYの声が抜け落ちていた。会話エンジンがGoogleのGemini 3.8 Liveに替わっていたのを、録音の側が拾いきれずにいたのです。さらに、文字で頼む仕組みがGemini形式に未対応だったり、ブラウザの自動ダウンロードの制限に引っかかったり。

感心したのは、そのたびにAIが原因を自分で掘り、直し、撮り直しまで持っていったことです。私が伝えたのは症状だけ。直す場所はAIが見つけました。仕上がったのが、この1分48秒の動画です。

FRIDAYに新曲をかけてもらったところ。中央に歌詞が流れます(1コーラス目までの抜粋・音が出ます)

続けて、Voice Labの画面も撮ってもらいました。JARVISとFRIDAYの声を聞き比べて選ぶ社内ページです。いまはJARVISがOpenAIのcedar、FRIDAYがGemini 3.8 Liveで話しています。

Voice Lab。OpenAIの10種類の声と6つの話し方を表で聞き比べられる画面 OpenAIの音声は、10種類の声 × 6つの話し方(英国執事、冷静な参謀AI、明るく歯切れよく、やさしく温かく、クールで知的、エネルギッシュ)を表で聞き比べられます

Voice Lab。Geminiの日本語115声をカードで一覧し、性別や声の高さで絞り込める画面 Geminiは日本語の声が115種類。性別・声の高さ・方言で絞り込めます。ここで声を選ぶと、その人格は会話のエンジンごとGeminiに切り替わります

センスと見た目は、私が口に出して動き出した

今週はっきり分かったこともあります。見た目の良し悪しは、私が言って初めて直る。

撮った動画をWebページに載せてみると、動画の枠だけが画面いっぱいに広がっていました。「動画の枠だけ広がりすぎてみっともない」と伝えると、原因はAI自身が書いた動画のタグに幅の上限が抜けていたこと、とすぐに突き止めて直しました。

もう1つは、ブログのアイキャッチ(記事の顔になる画像)です。Opus 5.5に作らせた最初の案は、「macOS 27 × Opus 5.5 × 自作JARVIS」と製品名を並べ、光る画面のノートPCを置いたものでした。私はこう言いました。

「アイキャッチのセンスが最悪。自社のルールだけにとらわれず最新の学習をして進歩して。特にフォントのセンスがない。過去にいい感じのもあったでしょ」

参考になる記事も1本添えました。するとOpus 5.5は当社の過去のアイキャッチ40枚を並べ、「その席、まだ課金中。」「Fable 5、復活。」といった良作を見分けました。画像AIに文字まで描かせるやり方をやめ、文字のない写真に本物のフォントを組み合わせる作り方へ切り替えて、出してきたのが上の石板の一枚です。Rosettaという名前と「通訳」の役目を、写真1枚で見せてきた。発想には、正直うなりました。

それでも、私の目にはまだ「暗い画面に白い大きな文字」の域を出ていませんでした。そこで今度は、良いと思う広告を3枚見せました。ラップ越しの人物で「透明」を表した音楽ポスター、生成りの余白に明朝の一行を置いたアパレルの広告、要の一語だけ色を変えた言い切りのバナーです。そして、こう伝えました。

「こういうのを学んでね。これを参考に、もう一度作り直してね」

3枚目の案で、ようやく腑に落ちました。明るいグレージュの背景に、閉じたMacを持つ人物。明朝体の一行「一言で、/段取りまで、/返ってくる。」。行を意味で切り、ラベル・見出し・補足の順に階層を付け、余白で語らせる。この記事の一番上にある一枚です。

見本を見せれば、AIは「絵の雰囲気」ではなく「コピーと組み方」まで読み取って応えてきます。そして、この2度のダメ出しを次回からの手順に自分で書き込みました。同じ注意を3度させない方向へ、AIのほうから進んでいく。 ここに、道具を超えた相棒らしさを感じます。

同じ週、裏側で片付いていた仕事

同じ4日間に、Opus 5.5はこんな仕事も片付けていました。

  • 9月24日 Mac miniの同期遅れの疑いを、GitHubの記録から「送った時刻が遅かっただけ」と確認。ついでに見つけた本物の欠陥を直し、47項目の試験で確認
  • 9月25日 飲食店の評価ダッシュボードで「登録した店が出ない」。私の「全エージェント総出で完璧に」で、AI4体が並列で作り直し、品質確認の差し戻しを経て合格。真因は9月20日の手作業で15店が消えていたことなど

どれも、私がしたのは一言の依頼と、最後の確認です。

社長の仕事は「問い・センス・最後の確認」へ移った

4日間で、私の仕事の中身ははっきり入れ替わりました。下調べ、撮影、伏せ字、裏取り、失敗の原因探しと撮り直しまで、作業はAIが段取りごと引き受けます。私の手元に残ったのは、3つの仕事でした。

1つめは、問いを立てること。「本当の問題はなんだ?」の一言で、Rosettaとminiの話が掘り起こされました。問いの質が、そのまま仕事の質になります。

2つめは、センスで決めること。動画の枠がみっともない、フォントがいまひとつ。この感覚は、いまのところ社長の目の仕事です。

3つめは、最後に見ること。外に出す前に、自分の目で確かめる。ここは、これからも私が持ち続けます。

この3つを握っていれば、AIは驚くほど遠くまで走ってくれます。しかも言われたことを手順に書き込み、次は先回りする方向へ育っていく。段取りを丸ごと任せられる相棒が、会社に1人増えた。この1週間の実感です。

明日から、あなたもできること3つ

1. AIには、手順ではなく「目的」を一言で渡してみてください。 「この画面を説明して」より「新機能を把握したい」。私の実感では、目的が伝わるとAIは足りない材料を自分で集めにいきます。

2. 上がってきたものに「本当の問題はなんだ?」と一度だけ聞き返してください。 見立てが外れていても大丈夫。当たった半分と外れた半分を、AIが事実で分けてくれれば、次の一手が決まります。

3. 気になった見た目は、その場で言葉にしてください。 美意識は、口に出した分だけAIに伝わります。伝えたことは、手順に残させておきましょう。

飲食店でいえば、仕込みを任せられる料理人が1人増えたようなものです。味を決めるのは、最後まで店主の舌。その舌を磨く時間を、AIがつくってくれます。


出典


㈱デリシャスノーツでは、飲食店・中小企業の経営者さま向けに、AIを使った業務の組み立てや、自社サイトの運用のご相談も承っております。「うちの仕事のどこにAIが使えるか、一度見てほしい」といったご相談は、お問い合わせフォームよりお寄せください。

閉じたノートPCを持つ人物の写真に明朝体で「一言で、段取りまで、返ってくる。」

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

是非シェアしてもらえると嬉しいです!
  • URLをコピーしました!
目次