築地にはご縁しかない。初の築地夜市と秋まつりを歩いてきました

デリシャスノーツの長屋です。
築地といえば「朝」の街。そう思っている方は多いはずです。私もそうでした。ところがこの秋、その印象がガラッと変わる出来事がありました。
10月29日(木)の夜に初開催された「築地夜市」、そして10月31日(土)の「築地秋まつり」。この2つに足を運んで、夜の築地と昼の築地、両方の顔を見てきました。今日はその記録です。
初開催の「築地夜市」へ(10月29日・夜)
波除通りが、夜の食の通りになった
築地夜市は、築地場外市場の波除通りを車両通行止めにして開かれた、初めての夜市です。時間は16時30分から21時まで、入場無料。主催は特定非営利活動法人 築地食のまちづくり協議会で、中央区が後援しています。
位置づけは、朝の市場機能を守りながら、夜の新しい可能性を探る「社会実証」。つまり、築地の夜に人が集まるのかを、実際にやって確かめてみる試みです。
私が着いたのは19時台。通りに入った瞬間、思わず「おっ」と声が出ました。

ふだんなら、この時間の場外はシャッターが下りて静かなもの。それがこの日は、屋台の明かりがずらっと並び、提灯が灯り、通りの奥まで人でぎっしりです。老若男女、歩いている人の顔ぶれもさまざまです。

出店していたのは、築地場外の8店舗に加えて、外から参加したお店。旅手箱、江戸一、築地もりた屋、近江屋 ロースト肉工房、丸二食品、うに虎、築地 京富、築地ボン・マルシェなど、顔ぶれを見ているだけでも楽しくなります。
ステージの前は人だかり
この日は18時30分ごろから「食×スポーツ クロストーク」というステージ企画がありました。ゲストは、東京都水泳協会 会長の北島康介さんと、ラグビー元日本代表の大野均さん。

ステージの前は人だかりで、遠目に雰囲気を感じるのがやっと。夜の築地にこれだけの人が足を止めている。その光景そのものが、この日いちばん印象に残った場面かもしれません。
築地もりた屋さんで、牡蠣のお好み焼き
さて、せっかくの夜市です。何か食べないと帰れません。
選んだのは「築地もりた屋」さんの牡蠣のお好み焼き。鉄板の上から湯気がもうもうと立ちのぼっていて、通りがかりにその湯気を見たら、もう素通りはできませんでした。

焼きたてを受け取って、夜風の中でいただく。牡蠣の入ったお好み焼きを、屋台の明かりの下で食べる。これだけで、ちょっとした旅先の気分です。ふだんのランチとはまったく違う、夜ならではのごちそうでした。
2日後は「築地秋まつり」へ(10月31日・昼)
場外ホームランセールと築地フードフェス
夜市の余韻が残るなか、2日後の土曜日は「築地秋まつり2026」へ。10月30日(金)から11月1日(日)までの3日間の催しで、各店のお値打ち品が並ぶ「場外ホームランセール」(10/30・31)や、市場橋公園の特設会場で開かれる「築地フードフェス」(10/31・11/1、入場無料)などがありました。
私が着いたのは11時40分ごろ。フードフェスの入口ゲートをくぐると、もうたくさんの人です。


秋晴れの空の下、テーブルはどこも人でいっぱい。こうなると、やはり一杯いきたくなります。サッポロビールさんの屋台に並んで、昼のビールをいただきました。

屋台の前で、思いがけない再会
ここで、思いがけないことがありました。屋台の前で、私の前職時代にサッポロビールさんの担当をしてくださっていた佐藤さんに、ばったり再会したんです。
まさか築地のお祭りで、ビールの屋台の前でお会いするとは。久しぶりにお顔を見られて、本当にうれしいひとときでした。人が集まる場所には、こういう巡り合わせがある。改めて、築地にはご縁しかないなと感じた瞬間です。
鳥藤さんの焼き鳥、築地 近江屋さんの煮込み
まずは「鳥藤」さんの焼き鳥。つくね、砂肝、ねぎまの3本です。外で食べる焼き鳥は、どうしてこうも気分が上がるのでしょう。

続いて「築地 近江屋」さんへ。お店の前を通りかかると、近江屋の社長さんがこちらに親指をグッと立ててくれました。こういう一瞬があると、お祭りが一気に自分ごとになります。

いただいたのは煮込み。白髪ねぎがたっぷりのっていて、見た瞬間から食欲をそそります。昼の屋外で、温かい煮込みをすする。秋のお祭りらしい一杯でした。

ホームランセールでは「いつもの買い物」
お腹を満たしたら、場外へ戻って「いつもの買い物」です。内野商店さんでいつもの野菜を、西山水産さんで鮭の切り身と鯵の干物を買いました。
お祭りの日でも、いつものお店で、いつものものを買う。にぎわいの中にも、ふだんの築地がちゃんと流れている。この感じが、私はとても好きです。
お祭りの日は、ふだん場外に来ない方も大勢歩いています。イベントをきっかけに、お店のふだんの商品と出会ってもらえる。お祭りは、街のお店を知ってもらう入口にもなっているのだと思います。
朝・昼・夜で、街の使い方が変わる
2日間を歩いてみて、いちばん感じたのはこのことです。
築地は、朝はプロと買い物客のための市場。昼は観光と食べ歩きの街。そして夜市の夜は、食と人が交わる場所になっていました。同じ通り、同じお店なのに、時間帯で「誰が来て、何をしに来るか」がまるで違うんです。
これは、飲食店にもそのまま当てはまる話だと思います。
あなたのお店は、ランチとディナーで同じ顔をしていませんか? 同じ店でも、時間帯が変われば来るお客さまが変わります。昼に来る方が求めていること、夜に来る方が求めていること。それぞれに合わせて、見せ方や伝え方を変えてみる。それだけで、お店の新しい使われ方が見えてくるかもしれません。
もうひとつ。築地夜市の人だかりを見て、改めて思いました。人は「いつもと違う時間」「いつもと違う場所の使い方」に心が動く、ということです。ふだん閉まっている時間に明かりが灯る。それだけで、こんなにも人が集まる。お店の企画を考えるときにも、ヒントになる気がします。
夜市の牡蠣のお好み焼き、昼のビールと焼き鳥と煮込み、そして思いがけない佐藤さんとの再会。たった2日間で、これだけの出来事がありました。やっぱり築地にはご縁しかありません。
築地夜市は「社会実証」としての初開催でした。朝の市場を大切にしながら、夜の築地がこれからどう育っていくのか。一人の来場者として、そしていつもの買い物客として、楽しみに見守りたいと思います。
