「APPLE COM BILL」の請求まとめに疲れた社長が、AIとChrome拡張を自作した話

こんにちは、デリシャスノーツの長屋です。
今日はいつものノウハウ記事から少し離れて、私が最近やらかした(?)体験記をお届けします。テーマはずばり「縦長のWebページを丸ごと1枚で保存できるChrome拡張を、AIと一緒に自作してChromeウェブストアに申請するまで」。結論から言うと、これがもう、笑えるくらい失敗の連続でした。でも最後はちゃんと飲食店DXの話に着地させますので、よかったらお付き合いください。
きっかけは、税理士からの「Appleの請求、まとめて」
ことの発端は、税理士さんからのこんな一言でした。
「長屋さん、apple.com の請求(明細に出てくる『APPLE COM BILL』ってやつ)をまとめて出してもらえますか?」
身に覚えはあるんです。スマホの Apple Pay は、サイドボタンをダブルクリックするだけで支払いが完了する。便利すぎて、気づくと ついつい課金してしまう“魔物” のような存在なんですよ。その結果、「APPLE COM BILL」という請求が、まあ延々と届いている。
「よし、まとめて出すか」と請求履歴の画面を開いたところで、私は早くも頭を抱えることになります。
請求画面が、まさかの“無限スクロール地獄”だった
apple.com の請求閲覧画面、これが私が見た限りでは「何月分」といった月の選択ができない作りなんです。ひたすら過去の履歴を下へ、下へとたどっていく、無限ループのような構造。1件ずつスクショして整理するなんて、考えただけで気が遠くなります。
「こういうのこそツールに任せよう」と、それまで使っていたフルページ撮影の拡張機能(FireShot)を立ち上げました。ところが、ここでも壁にぶつかります。無料で撮れる範囲を大きく超えていて全然足りないうえ、そもそも途中から無限に広がっていく請求書の塊で、何ページになるのか自分でも分からない。
気になって設定をのぞいてみると、私が見た時点では有料化していて、しかも結構なお値段でした。年契約が「60%オフ」とうたいつつ 年39.95ドル、買い切りのライフタイムが 99.95ドル。日本円にすると……うーん、なかなかの金額です(あくまで私が見た時点の表示で、今は違うかもしれません)。
有料版なら通常は「PDF 5ページまで」という制限が無制限になるようで、「それなら対応できるかな」とは思いました。ただ、私の環境では途中で停止ボタンを押すしか止める方法がなく、最後までちゃんとスキャンできるのか確信が持てない。この状態で 39.95ドルを払うのは、なんだか踏ん切りがつかなかったんです。
「だったら、この機能だけ作っちゃえ」
ツールを責めるつもりはまったくありません。便利なものですし、開発者の方には頭が下がります。ただ、確信が持てないまま課金するのをためらっているうちに、ふと魔が差しました。
「これ、必要な機能だけなら、いまのAIと一緒に自分で作れるんじゃないか?」
実は私、以前にも同じ要領で別のChrome拡張を自作したことがあったんです。少し前なら拡張機能の自作はエンジニアの領域で、私のような“現場の人間”が手を出すものではありませんでした。ところが今は、AIに相談しながらコードを書いてもらえる時代。設計の方針も、コードも、つまずいたときの直し方も、まるで隣に詳しい相棒が座っているかのように付き合ってくれる。個人がアプリを“形にできる”ハードルが、いつの間にか地面すれすれまで下がっていたんです。
こうして、私とAIの二人三脚(私はほぼ口だけ)の開発が始まりました。製品名は 「簡単フルページキャプチャ」。名前の通り、誰でも簡単に、ページ丸ごと撮れることだけを目指しました。
作ってみたら、欲が止まらなくなった
最初の目標は「縦長ページを1枚で撮る」だけ。でも動くものができると人間は欲が出ます。「どうせなら、これも便利だよね?」がどんどん膨らんでいきました。
育っていった機能たち
- 無限スクロールのページを「止めた所まで」撮れるように(まさに今回のApple請求のような、延々と続くページ対策)
- PNGでもPDFでも保存できるように
- 保存先をGoogleドライブにできるように
- 撮った画像をクリップボードにコピー、そのまま印刷も
- そして……撮り終わると「パシャッ」と音が鳴る小ネタまで(完全に自己満足)
気づけば、当初の素朴な願いから、ずいぶん立派な道具に育っていました。使うたびに一人でニヤニヤしています。
ここからが本番。笑える失敗の数々
……と、きれいにまとまりそうですが、当然そんなにスムーズにはいきません。むしろここからが本番。AIと「直しては撮り、撮っては直し」の珍道中が始まります。
失敗その1:撮った画像に「停止ボタン」が写り込む
無限スクロールを止めるための「停止ボタン」を画面に出したのですが、いざ撮影するとそのボタンが画像のド真ん中に堂々と写り込む。記念撮影で自分の指がレンズにかかっているアレと同じ状態です。AIに「ボタンが写るんだけど」と泣きつき、撮影の瞬間だけボタンを隠すように直してもらいました。
失敗その2:スクロール追従メニューの「分身の術」
スクロールしても画面上部にメニューがずっとついてくる「追従メニュー」、ありますよね。これが厄介で、撮影しながらスクロールすると同じメニューが何段にもわたって写り込む。1枚の画像にメニューが3つも4つも並ぶ、いわゆる“分身の術”が発動。これも一筋縄ではいかず、AIと何度も相談しながら少しずつ潰しました。
失敗その3:「不明なエラーが発生しました」に翻弄される
開発でいちばん心を折りにくるのが、この「不明なエラーが発生しました」という一文です。何が不明なのか、こっちが知りたい。原因がわからないまま、AIと「ここかな?」「違ったね」「じゃあこっち」と地道に検証を重ね、ようやく一つずつ解決していきました。傍から見たら漫才だったと思います。私が「また出た!」と叫び、AIが冷静に次の一手を出してくる。気づけば、すっかり頼れる相棒でした。
ついに、Chromeウェブストアに申請
そんな珍道中を経て、ようやく人様に使ってもらえる形まで磨き上げ、先日ついにChromeウェブストアに申請。現在は 審査中(公開準備中) です。正直、ドキドキしています。無事に公開されましたら、あらためてこのブログでご案内しますね。
着地:これ、飲食店のDXとまったく同じでした
さて、ここまで読んで「社長、税理士さんへの提出をサボるために遠回りしてるのでは?」と思われた方。半分正解です。でも、もう半分には、ちゃんと学びがありました。
今回いちばん実感したのは、「完璧を待たずに、小さく作って、使いながら直す」という進め方の強さです。
きっかけは「Appleの請求をまとめたい」という、たった一つの“ちょっと面倒”。そこを潰すところから始めたからこそ、形になり、欲が出て、育っていった。最初から完璧な道具を目指していたら、たぶん私は一歩も踏み出せませんでした。
これ、飲食店のDXやWeb集客でもまったく同じなんです。
- 予約管理の手書き台帳が面倒 → まず予約だけデジタル化してみる
- お客様への一斉連絡が面倒 → まずLINEの友だち登録だけ始めてみる
- 口コミ返信が後回しになる → まず週1回まとめて返す仕組みにしてみる
大きな「DX」という言葉に身構える必要はありません。現場の「ちょっと面倒」を一つずつ仕組みで潰していく。その積み重ねだけで、毎日が確実に軽くなっていきます。
今回の拡張機能で、私の作業もちょっと楽になりました。そのちょっとが、積もると大きい。完璧じゃなくていい。まず一つ、面倒を潰してみませんか。
それでは、また次回。「簡単フルページキャプチャ」が無事に公開されたら、あらためてご報告します。お楽しみに。
